まさか本気で狙っているのか。ほんの半年前、内閣支持率が低迷し、退陣に追い込まれた岸田文雄前首相の「再登板説」が取り沙汰されている。

読売新聞も6日、「岸田前首相 動き活発化」「再登板へ布石 見方も」と大きく報じている。


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 読売新聞が「動き活発化」と報じたように、岸田前首相が精力的に動いているのは間違いない。


 ゴールデンウイーク中は、石破首相の特使としてインドネシアとマレーシアを訪問。しかも、木原誠二・党選対委員長や、旧安倍派の幹部だった萩生田光一・元政調会長といった“実力者”を引き連れて外遊している。


 先月末には、「資産運用立国」の実現を目指す議連の会長として、高齢者向け新NISA「プラチナNISA」の導入を求めて石破首相と面会し、提言書を渡している。


 党内の地盤固めも活発。旧岸田派のメンバーと定期的に会合を開き、3月には岸田政権時代「三頭政治」と称された麻生太郎元首相、茂木敏充前幹事長と会食している。


■今や最強のキングメーカー


 首相時代、あまりの不人気ぶりに総裁選への出馬を断念せざるを得ず、退陣に追い込まれた岸田前首相だが、いまや、党内は「岸田1強」になっているという。


「いま、最強のキングメーカーは岸田さんです。菅元首相は影が薄く、高齢の麻生さんは引退が近い。“陰の総理”と呼ばれる森山幹事長は最大の実力者ですが、手勢が少ない。その点、岸田さんは、いまでも約50人の旧岸田派議員を束ねています。

しかも、麻生派約50人を率いる麻生さんと気脈を通じ、森山幹事長ともツーカーの仲です。石破政権の中枢も、政調会長に選対委員長と“岸田人脈”が押さえている。もし、岸田さんが“反石破”に回ったら、石破政権は一気に瓦解する恐れがあります」(自民党関係者)


 岸田周辺からは「岸田1強体制は5年つづく」という声も上がっている。実際、岸田前首相がキングメーカーとして「ポスト石破」選びに絶大な影響力を持つのは間違いない。


 ただし、ワンチャンスあれば、自らの「再登板」を狙っているという。


「もし、夏の参院選で自公が大敗し、参院でも自公が過半数を失ったら、石破首相は退陣せざるを得ないでしょう。その時、誰が石破後継になるか。いま有力視されているのが、林芳正官房長官と、高市早苗前経済安保相の2人です。しかし、岸田さんは、この2人だけは、どうしても総理にしたくない。高市さんとはケミストリーが合わない。林さんは旧岸田派のメンバーですが、もし林さんが総理になると、旧岸田派(宏池会)は、そのまま林派に衣替えしてしまい、岸田さんは“一丁上がり”にされかねない。2人を総理にするくらいなら、自ら手をあげる可能性が高いと思う。

それと岸田さんには、亡くなった安倍晋三さんと肩を並べたいという野望があるといいます。岸田さん本人は、当選同期だった安倍さんをライバル視していたが、安倍さんは、岸田さんのことをライバルと思っていなかった。岸田さんは屈辱だったはずです。総理に返り咲けば、安倍さんと肩を並べられる、場合によっては超えられると考えても不思議ではありません」(政界関係者)


 あの岸田文雄前首相まで「ポスト石破」に名前が挙がるとは、自民党の人材払底は相当、深刻だ。



「ポスト石破」を狙う高市早苗前経済安保相が森山裕幹事長とバトルを繰り広げたワケとは。●関連記事【もっと読む】『自民・高市早苗氏が森山幹事長を猛批判!「減税」巡り党内で“内ゲバ”勃発の醜悪』で詳報している。


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