「選挙目当てのバラマキ」と批判されるのが嫌で、政府・与党がいったん見送ったはずの「給付」「減税」が再び浮上してきた。


 自公の幹事長、国対委員長が7日、東京都内で会談し、夏の参院選までに新たな経済対策を策定すべきだとの考えで一致したという。

トランプ米政権との関税交渉の行方も踏まえ検討を進める。


 自民の坂本哲志国対委員長は記者団に「減税、給付も視野に入れていく」と説明。公明側から「減税や、低所得者の負担を軽くする給付も考えていきたい」との提案があり、自民も検討課題とする考えを示したという。すでに自公は経済対策として、夏場の電気・ガス代補助を打ち出しているが、あまりにショボくて、やっぱり減税や給付に傾いてきたということか。


「公明党は夏の参院選の公約に掲げる重点政策として、『減税や給付による家計支援』を先月発表済み。食料品を中心に軽減税率の引き下げも選択肢としている。参院選の前には都議選もあり、公明としては減税の旗を簡単には降ろせない。自民党の参院議員らも選挙を目の前にして、消費減税論がくすぶっている」(自民党関係者)


■自民は当面公明党の顔を立てながら…


 一方で、減税に対してシビアなのが、党税制調査会インナーの森山裕幹事長だ。


 きのうの自公会談の場でも、森山幹事長は減税や給付について首をタテには振らなかったようだ。消費減税に一時、前向きだった石破首相も、ここへきて消極姿勢に転じたらしい。


「石破さんは森山さんに全幅の信頼を置いており、森山さんの影響もある。自民支持層は無党派層ほど減税を求めていないとか、野党がこぞって減税を主張しているので、与党として社会保障財源に責任を持つとした方が差別化が図れるなどの考えもあるようです」(官邸事情通)


 どうにも迷走している自公の経済対策だが、ジャーナリストの山田惠資氏はこう言う。


「政府・与党で新たな経済対策を出すとしても、参院選前の『実施』にはもう間に合いません。石破首相としてはトランプ関税の交渉で結果を出して、減税なしでも選挙で有権者の支持を得られるようにしたい。だが、そうはうまくいかず世論が厳しくなりそうなら、場合によっては経済対策のパッケージに減税を盛り込んで年末の税調で協議ということもあるかもしれない。当面は公明党の顔を立てながら曖昧路線で行くのでしょう」


 どっちつかずじゃ、逆に有権者の支持がますます離れるんじゃないか。


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 自民が焦るのも、参院選の議席予想が思わしくないから……関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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