【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 多いですよね、海外の未解決事件や犯罪捜査を扱った番組。実際の事件映像を流したり、海外に行って捜査官にインタビューしたりという番組はよくあります。

お金をたくさん使ってそうだけどコスパ合うの? と思われても不思議ではありません。


 でも、じつはこういう番組は、ほとんど日本国内で制作しているんですよ。お金も手間もそんなにかかりません。でもゴージャスに見えるじゃないですか。だから制作するテレビ局側からすれば、なかなかコスパの良い「おトク番組」かもしれません。


 まず、映像はほとんど海外で制作された番組や放送局などから購入したものです。海外には「犯罪捜査チャンネル」みたいな専門局もあったりして、結構ふんだんに元ネタになる番組はありますし、裁判所や捜査機関の取り調べなんかが撮影され、それが容易に入手できる国も多いです。ちなみに日本ではほとんどこの手の映像は入手できません。


 で、こういう海外の映像を探して、買いつけてくれる専門のコーディネーターや会社もたくさんあります。有名なところでは、デーブ・スペクターさんも海外映像素材を取り扱っている会社の代表取締役ですね。プロたちが見つけてきてくれた迫力のある面白い映像を元に番組を作ればいいんですから、効率がいいです。


 そして、「番組スタッフが現地に飛んだ」みたいなことを言っていても、実際には現地にある日系のコーディネーション会社や番組制作会社に撮影を依頼しているだけで、わざわざ日本から行くケースのほうが少ないかも知れません。

なにせアメリカやヨーロッパ、アジアをはじめ、世界中の主だった地域には日本人スタッフのいる制作会社や撮影会社、あるいはコーディネーション会社が存在していますし、コロナ禍のころに「日本から行かず海外に任せる」のが当たり前になってしまいましたしね。日本から行くケースでもせいぜいディレクターひとりだけ、が普通です。


 「再現映像」はほとんど国内で撮影されてます。外国っぽく見える場所がいくつかあって、そこで「日本にある外人タレント事務所」のタレントさんが出演して撮影されてます。テレビ業界人が見れば「見慣れた場所と、見慣れた顔」の再現映像ばかりです。


 ということで、残念ながら海外衝撃ミステリー系は、むしろ比較的安く、手軽に作れる番組だというのが真相です。お分かりいただけましたでしょうか。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


  ◇  ◇  ◇ 


 著者の過去の記事は? 【関連記事】仕込みなし? テレビの街頭インタビューの採用率はどのくらい?…では、視聴者の皆さんの疑問に答えている。


編集部おすすめ