【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 裏かぶり…確かによく分からない風習ですよね。理屈としては「同じタレントが複数の番組に同時に出てると、ファンが分散して視聴率が低くなる」ということなんでしょうけど、じつは「裏かぶりは絶対ダメ」と業界ルール的に決まっているわけではありません。

判断は昔からバラバラなんです。


 タレントさんに番組が出演をオファーして、放送予定日時を伝えると、「すみません裏かぶりがありまして」とか言われますが、決して事務所が嫌がっているわけではなく、「あちらの番組さんが気にされているので」とか言って断られます。つまり誰が判断するのか? というと、だいたいは番組プロデューサー、ないしは局のもっとエラい人です。


 これは私の個人的な実感ですが、かつてはだいたい「弱い局」は裏かぶりを気にしませんでしたね。テレビ東京さんとか、テレビ朝日は寛容な場合が多いです。「お互い様ですから」みたいな感じで、「あー、うちは全然気にしませんよ」みたいなプロデューサーさんが多いです。


■プロデューサーや局のさじ加減で決まる?


 それに比べて、いわゆる「強い局」はすごく細かく気にする場合が多いです。どことは言いませんけど、2つほど「裏かぶり気にしすぎじゃね?」という局がありました。そのうちひとつの局なんて、「あるバラエティ番組にたまに出演するタレント」を勝手に「準レギュラーだから」と言い張り、「そのタレントが出演していない放送回でも、その番組の裏は他局全面NG」という訳の分からない屁理屈を展開していましたよ。マジむかつきましたね。


 きっと「少しでも他局に嫌がらせできるところはしないと、競争に負ける」という、セコすぎるメンタリティが社風としてあるんだと思います。そういう局はだいたい、他の問題でもセコい嫌がらせをしがちです。

各局バッティングしたニュース中継で「決められたインタビュー中継時間を守らない」とか、「事件現場で借りた素材を、他局に借りられないように”郵便で返しました”とか嘘をついて借主に返さない」とか、くそチンケなことをやりがちです。まあだいたい他局からは嫌われてますよね、当然そういう局は。


 あ、ゴメンナサイ怒りのあまり話がそれました。最近では世代交代してそういう輩が現役を外れたからか、それとも配信とか考えると裏かぶりにあまり意味がなくなったからか、あまり厳密に裏かぶりを気にする番組はなくなりましたね。いい傾向です。斜陽産業なんですから、お互い助け合わないとね。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


  ◇  ◇  ◇
 
「衝撃ミステリー系」の番組って海外ロケばかりで赤字なんじゃない? という疑問は実は間違っている! 関連記事【もっと読む】海外の「衝撃ミステリー系」番組…外国の映像やロケって割に合わなそうだけど?…では、意外にも低コストな番組作りについて伝えている。また、下記の水色ボタンからは皆様からのテレビ局の疑問をお待ちしています。


編集部おすすめ