【春ドラマ「女優進出組」の実力大分析】#3
森香澄
MBS「年下童貞君に翻弄されています」
主人公・今井花恋役
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アナウンサー出身女優の元祖は元NHKの野際陽子とされているが、1980年代の「女子アナブーム」以降に本格的な女優として定着した人は、三谷幸喜監督の映画にも出演して日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した八木亜希子、戸田恵梨香・有村架純らが所属する女優系事務所フラームに移籍してNHKの連ドラでも主演した田中みな実など、ごくわずかしかいない。
今春のドラマ特区「年下童貞くんに翻弄されてます」(MBS・木曜深夜0時59分/ほかにテレビ神奈川などでも放送)で柏木悠とダブル主演しているのは、元テレビ東京アナウンサーの森香澄。
彼女が連ドラ初主演する前に本紙のコラムで「次期バラエティー女王候補」として取り上げたときに、「ラブコメマンガに出てきそうなヒロイン像を実写化したかのような」魅力があると書いた。今春の主演ドラマは、ラブコメディーWEBTOON(ウェブコミック)が原作で、まさにその魅力を最大限に生かした作品だ。
1995年6月16日生まれ、東京都出身。女性アナウンサーとしては高橋真麻、鷹西美佳、西尾由佳理、野村真季ら(メンツがシブい!)を輩出している東京女子大を卒業後、2019年にテレビ東京入社。局アナ時代は「よじごじDays」「ウイニング競馬」などのMCを担当して、23年3月末退社。
普段は「あざとかわいいキャラ」で人気を集めているが、今回のドラマで演じている主人公の花恋も「あざとテク」を駆使する。今作はバラエティーでのイメージの延長上にある役柄だが、彼女には天性ともいえるヒロイン向きの華やかさ(言い方を変えると「主役体質」の素養)がある。今後は「あざとかわいい」イメージから離れた役を演じる機会が増えそうだ。
彼女は恋愛ドラマとの相性もいい。実はそこが重要なポイントで、同世代の現在30歳前後の女優には王道の恋愛ドラマを得意とする女優が、意外と少ない。
女優として生き残るためにはこの先の数年間が大事になるが、現状把握ができるアラサーの女優なら、「手ごわいライバルが出てきた」と森香澄を警戒し始めているに違いない。
(高倉文紀/女優・男優評論家)