振り上げた「こぶし」はそう簡単に下ろせない。夏の参院選に向け、政権与党間の消費税減税を巡る足並みの乱れが、深刻度を増してきた。


 自民党内では選挙を控える参院側や積極財政派の若手・中堅議員から、減税待望論がある中、石破執行部は慎重姿勢を崩さない。15日、朝日新聞は「参院選の公約に消費税減税を盛り込まない方針を固めた」と1面で報じた。


 党執行部には財政重視の「責任政党」をアピールする思惑があるようだが、ハシゴを外されかねないのは公明党だ。


 先月25日、参院選の公約第1弾を発表。物価高対策に「減税」を掲げ、実現までのつなぎ措置として「給付」を明記。斉藤鉄夫代表は「食料品の軽減税率も減税の検討項目」と繰り返す。


 岡本三成政調会長は、より積極的で「物価高対策は消費税減税が基本」「軽減税率0%に伴う税収減も、消費税全体に対しては必ずしも大きくない」などと発言。14日には減税の財源について「赤字国債の発行も選択肢」と踏み込んだ。


 財政重視の自民執行部の考えに反し、おもいきり振り上げた公明の「減税こぶし」。その勇ましさは14日のBSフジ「プライムニュース」に出演した政治ジャーナリスト・田崎史郎氏から「あくまで消費減税を求めますと言うんだったら、連立離脱を覚悟しないといけない」と苦言を呈されたほどだ。


 確かに税制を巡る与党同士の意見がここまで食い違えば「閣内不一致」に発展する恐れはある。公明の西田実仁幹事長は15日の中央幹事会で、6月中旬をめどに参院選の与党統一公約をとりまとめる考えを提示。

会合後、赤羽一嘉中央幹事会長は「税制は国民生活の基本で、与党がバラバラなことを言うのはあまり望ましくない」と語った。


 自民執行部のかたくなな消極姿勢をくみ、におわせ続けた消費税減税に水をかけるような動きだが、今さら「減税なし」で自民と足並みを揃えても、支持母体・創価学会の選挙離れを招くだけ。軽減税率0%を期待した女性部がそっぽを向けば、参院選は惨敗必至である。


「今の公明党内にはまとめ役が誰もおらず、斉藤代表はリーダーシップを求めるだけ酷な人です。自民との調整役も不在で、消費税減税を巡っても党内は議論百出。収拾がつかないまま、参院選に突入しかねません」(公明党関係者)


 いっそ消費税減税に振り切って連立からオサラバするのも、ひとつの見識だろう。さあ、公明はどうする?


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 石破自民の参院選対策はことごとく裏目に出そうだ…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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