少数与党の石破政権と野党第1党の立憲民主党があからさまに距離を縮めている。立憲が「あんこのないあんパン」と猛批判した年金制度改革関連法案の審議は、21日の党首討論で野田佳彦代表が石破茂首相に「真剣にやろう」と呼びかけて急展開。

6日後には基礎年金の底上げ策を盛り込んだ立憲の修正案をのむ3党合意がまとまり、30日にも衆院通過の運びだった。蜜月はねっとりと深まりつつあるものの、不透明感が漂う。参院選後の「大連立」をにらんだ足の引っ張り合いがそこかしこで起きている。


 国民民主党は「審議が不十分」と文句を垂れ、日本維新の会は「厚生年金の積立金の流用だ」と反発。ともに政権との近さを争ってきた。共産党やれいわ新選組も衆院厚労委員会でのきょうの採決に反対しており、微妙な雰囲気だ。


■「いろんな組み合わせで」


 確かに修正案は財源の裏付けを欠くなど、問題はあるが、岸田前首相までチクチク言い出した。28日に都内で講演し、「連立の話も飛び交っているが、大きな決断ができる政治を取り戻すための工夫が求められる」と発言。立憲の連立入りを念頭に、こうクギを刺した。


「理屈上はあり得る。難しいのは、なぜ必要なのかをちゃんと説明しないといけない。大連立しても、国民から批判を浴びてすぐに崩壊するということはあってはならない」


 要するに、石破牽制だ。


「岸田氏は首相時代、国民民主党に本予算に賛成してもらうなど、玉木代表に恩を感じている。今月上旬にテレビ番組で〈いろいろな世論を聞くたびに、首相候補の一人だと思う〉と持ち上げてもいた。もっとも、本音のところでは、石破政権が息を吹き返すのは面白くないからでしょう。政権が強固になれば、自分の出番はなくなる。安倍元総理が召され、菅元総理は往時の活力を失う中、キングメーカーとして影響力を拡大し、再登板するもくろみは、ついえてしまう」(与党関係者)


 世論が支持した「石破カラー」を封印して天上人化した現職もさることながら、前首相の度量の小ささはひどい。セコ過ぎるレベルだ。


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 立憲民主党・野田代表の石破首相へのスリ寄りぶりは、関連記事【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。


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