2024年夏の熱狂が嘘のようだ。東京都知事選で次点だった石丸伸二氏が旗揚げした地域政党「再生の道」は、22日投開票の都議選(定数127)に42人を擁立。
都議選が告示された13日午前11時過ぎ。石丸氏の姿は大手町にあった。梅雨らしいジメッとした天気にもかかわらず、スーツにポケットチーフを差し、颯爽と登場。ワイシャツを腕まくりして臨んだ都知事選の第一声とは打って変わり、汗ひとつかいていない様子だ。
千代田区(定数1)の候補者の横で5分ほどマイクを握り、「都議会は二元代表制が機能していない」「与党でも野党でもない、右でも左でもない、とにかくいい道を歩もう」「任期は2期8年、党議拘束はかけない」などと支持を訴えた。街宣車周辺に聴衆が30人超いたものの、去年の街頭演説でお決まりだった黄色い歓声はひとつも上がらずじまいだった。
再生の道は当初、全42選挙区での擁立を目指したが、かなわなかった。港区(定数2)、文京区(定数2)、江東区(定数4)、北区(定数3)、立川市(定数2)、三鷹市(定数2)、青梅市(定数1)は空白地帯。一方で、定数4以上のいわゆる大選挙区に2人ずつ立てるなど、共倒れと隣り合わせだ。出回っている情勢調査を総合すると、再生の道の議席獲得数はゼロとなる公算が大きい。
「石丸氏の第一声は古巣のメガバンク本店がある丸の内を予定していましたが、現場が工事中で人けがないことが判明。直前に変更し、党のX(旧ツイッター)でアナウンスするドタバタだった。これが知事選だったら大荒れだったでしょうが、自分の選挙ではないせいか涼しい顔。勝敗ラインも設定していないし、どこか他人事なんです」(陣営関係者)
知事選をめぐる公選法違反疑惑の影響もあるのか。石丸氏は朝日新聞(11日付朝刊)のインタビューで〈うちは(候補者選考の)オーディションをするだけの装置で、「あとはがんばってね」〉とアッサリしたものだった。石丸新党は「再生」どころか、壊滅に近づいている。