「首都決戦」はのっけから“女帝”に異変だ。東京都議選(22日投開票)がスタートした先週金曜と土曜にわたり、小池都知事が分刻みのスケジュールで公明党候補の“応援行脚”を展開した。
小池知事は告示日の13日の日中こそ、自身が特別顧問を務める都民ファーストの会候補の応援に入ったが夕方からは一転。公明候補の応援に回り、豊島区(定数3)など3選挙区3候補の街頭演説会場を駆け巡った。翌14日は丸一日、公明の応援にベタ張り。北多摩3区(定数3)のほか、大田区(定数7)や足立区(定数6)など、なんと7選挙区9候補の応援をこなす過密日程だ。公明が立てた全22候補のうち、2日間で半分以上の応援に入ったことになる。
いずれも定数2~7人の複数区とはいえ、全選挙区に都ファの候補が立っている。知事与党の公明とはもともと友好関係とはいえ、都ファの候補にすれば面白かろうはずがない。
実際に“女帝効果”はまずまず。14日16時すぎ、小池知事はJR錦糸町駅前(墨田区)に駆け付け、公明の加藤雅之都議(党都本部副幹事長)の横で、「実績タップリの加藤先生を都議会にお戻しいただきたい」と持ち上げた。集まった聴衆はザッと250人を超え、小池知事も時折、聴衆に手を振り返すなど終始ノリノリ。なかなかの盛況ぶりだった。
終了後、加藤氏に今回の経緯を訪ねた。
「自分は一候補者なのでよくわかりませんが、党都本部が調整してくれたのでしょう。都議会公明党は小池都知事を支えていますから、来るのは不思議でもなんでもないと思います」
とはいえ、ここまでの“応援ラッシュ”はやはり異例だ。都議選では、自民党も小池知事に選挙支援を要請している。小池知事は13日の定例会見で、どのように候補の応援や支援を行うかという記者の質問に「政策的にさまざまな連携を取れるか」などを勘案すると話していた。
■公明党も知事との親密ぶりをアピール
「“応援行脚”の狙いはある意味、会見での言葉通りでしょう。自らに加勢してくれるのなら所属政党は問わないという姿勢です。自民はベテランを中心に反小池派がおり、裏金事件で印象も悪い。それなら、公明に接近した方が利益があるという判断です。公明側も党勢が低迷し、支持者の高齢化もあって議席減が予想されている。これまで以上に知事との親密ぶりをアピールし、支援者をつなぎ留めたいのでしょう」(都政担当記者)
その結果、“身内”の都ファ候補が転んでも、自身を味方する勢力に影響がなければお構いなし。やはり選挙のたびに、小池知事の腹黒さが際立つ。
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選挙戦はさながら「コメ将軍vs水の女帝」の図式に。