【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


はいはい、ありますよねそういう番組。実は私も結構好きで、よく見ています。

マジで泣いたり喜んだりする企業の開発担当の人たちの様子が、リアルで良きですよね。鬼みたいに厳しいジャッジをするシェフもステキです。よく「あれってステマじゃないですか?」という質問を受けることがあるのですが、実は「紹介するからお金をください」みたいなことにはなっていません。もう少し複雑な構造です。


 テレビのルールのひとつに「CM総量規制」というのがあって、民放連の放送基準で「コマーシャルの総量は、総放送時間の18%以内」と定められています。番組で「紹介するからお金をください」とかやってしまうと「これは番組じゃなくてCMですね」と言われてCMカウントされる恐れがあるので、基本的にできないルールなんです。最近では、お金をもらって紹介すると「ステマじゃないか」と言われちゃいますしね。あくまで「これは視聴者に生活情報を提供しているんです」というスタンスです。


■「ステマ」ではなく「ぜひもの」…その違いは?


 じゃあ完全に無料で紹介しているかというと、それもまあ違います。簡単に言うと「テレビ局の営業さんが、セールスのオマケとして使っている」感じです。各チェーン店さんに営業に行く時に、「うちにたくさんCM出してくれたら、あの番組に紹介しますよ」というセールストークをしているわけですね。番組制作現場にいると、営業局や編成局から「ぜひやってほしい」ということで、こうした”お願い”が降ってきます。

業界用語ではこれを「ぜひもの」とか「編成物件」なんて呼んだりしますね。まあ、お願いと言っても当然断ることはほぼできません。


 ということで、「ステマ」と言って良いのかどうなのかギリギリっぽい「ぜひもの」がテレビにはゴロゴロ転がっています…ていうかステマっすよね、ほぼ。


 ちなみに「スポンサーの商品なのに結構シェフがボロクソ言ってて、不合格とか言ってるけど大丈夫なの?」とお思いのかたも多いんでしょうが、大丈夫なんです。むしろ褒めてばっかりいたらリアルさが失われます。ガンガン厳しいこと言って、ピーピー泣かせるくらいのほうが「あの人たち一生懸命なのにかわいそう。頑張れ!」となって、企業イメージがむしろアップするんですよね。けなしたシェフも「さすが味に厳しい」となって評判は落ちないですしね。


 そのへんが「よくできたバラエティーのフォーマットだよなあ」と思います。考えた人すごいわ!…ってどっかのお店みたいですが(笑)


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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