【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
14日のフジテレビ系土曜プレミアム「小泉孝太郎&かまいたちの芸能人テスト」を見た。タイトルに「テスト」とついてはいるが、中身は「懐かし映像観賞会」。
最近も7日「新しいカギ2HSP!昭和平成の名曲で早押しバトル!土八先生&高校生クイズ何問目」、12日「ミュージックジェネレーション★令和世代に刺さった昭和・平成のラブソング★」、17日「今夜はナゾトレ 昭和・平成・令和!学べる超貴重映像50連発★山手線&懐かしCM」などなど。とくにフジが多い気がする。
「小泉&かまいたち」のオープニング「平成モンスターアイドルクイズ」では「日本のアーティストでシングル1位獲得数一番多いのは?」が出題された。正解は嵐でその数なんと54! 次は「97年デビューのKinKi Kidsのデビュー曲『硝子の少年』を作曲したある大物ミュージシャンは?」だったが、答えはもちろん山下達郎だ。
そんなふうに進行していくが、音楽パートの映像がほぼレコード会社から提供されるミュージックビデオ。フジの音楽番組に出演した際の独自映像を使うならまだしも、延々とMVを流すだけ。映像を探す手間まで惜しむとは呆れてモノが言えない。「アーカイブ」の有効活用という大義名分を通り越し、明らかな「手抜き」だ。
使いまわし感が否めない
もっとも尺をとったのは「名作ドラマ最終回視聴率TOP20」のランキング。同率19位は田村正和主演「古畑任三郎(第3シリーズ)」と、深田恭子がHIVに感染した女子高生を演じた「神様、もう少しだけ」の28.3%に始まり、1位の木村拓哉主演「HERO」の36.8%まで、その視聴率の高さからあの頃のフジテレビがいかに輝いていたかがわかる。
とはいえ、そのほとんどがキムタクがらみのドラマでフジとキムタクの親密さがわかるが、これらの映像はそれこそ何度も何度も見たもので「またこの映像か」と使いまわし感が否めない。
ちなみに、出てきた月9ドラマの多くは先日古巣に訴えられた大多亮元専務の仕事だった。ここだけやけにボリュームが多いと思ったが、よくよく考えれば、この最終回を見て面白そうならフジテレビ「FOD」の有料プランで見てね、と客集めをしているのではないかということ。
貧すれば鈍す。こんなふうにアーカイブを食い散らかしてみたところでいずれ枯渇する。むしろどん底の今だからこそチャレンジして、フジここにありを見せるべき。
過去の栄光にすがり、アーカイブに依存するだけでは未来は開けない。
(桧山珠美/コラムニスト)