【今週グサッときた名言珍言】
「動物園で買っ……、いや、仲間になった」
(大和田伸也/NHK「編成王川島」6月11日放送)
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重厚な演技で存在感を放つ大物俳優・大和田伸也(77)。彼が番組に持ち込んだ企画はなんと、私物のぬいぐるみを使った人形劇をつくり上演するというものだった。
実は、大和田は30年ほど前からぬいぐるみの収集を始め、いまでは数百体所有するという。自身のSNSで、ぬいぐるみと写真を撮る「ぬい活」の模様をあげると大反響を巻き起こした。
そんな大和田が初めて、ぬいぐるみを手にしたときのことを振り返った言葉を今週は取り上げたい。それ以降、動物園や水族館に行くと必ず買うようになったという。
「ぬい活」を始めたきっかけはマチュピチュの遺跡に行ったときだった。高い山に登ると、そこでひとりの青年が持参した人形と一緒に写真を撮っていたのだ。そこから自分もやってみようと思ったという(フジテレビ系「めざまし8」2025年3月3日)。
大人がぬいぐるみとしゃべったり触ったりするのは、それまで恥ずかしいと思っていた。けれど「ぬい活」に共感してくれる人が多く、恥ずかしさは消えた。「SNSを通して、自分の趣味をさらけ出すハードルが、かなり下がりましたね」と大和田は言う(「Smart FLASH」25年3月16日)。
そんな大和田は多趣味だ。油絵や写真、オペラなどなんでもやる。
「僕の普段の姿を見て、楽しんでくれる人がいたり、癒されるという人がいたり、生きる喜びを感じたりと、いろいろな意見をいただくので、これは面白いもんだな」(blueprint「Real Soundテック」23年1月1日)
大和田がそう語るように、実況動画の魅力は本人がリラックスして楽しんでいるところ。決して上手ではないため、負けることも多い。だが「勝ちたいとは思うけど、でもそれがすべてじゃないからね。チャレンジすること自体がおもしろい」(KADOKAWA Game Linkage「ファミ通.com」23年2月11日)と彼は言う。
動画の最後には「夢そして情熱」という本人直筆の文字が出る。「大げさに感じるかもしれないけど、ちょっと目を向けるだけでいいんです。どんなに小さなことでもいい」と言ってこう続ける。「なんかいいなと思うものがあったら、軽い気持ちでやってみる。下手でもいいから一歩一歩進んでみる」(同前)のが大事だと。
そうやって大和田伸也は「夢と情熱」を持ち続けているのだ。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)