6月22日、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第24回が地上波で46分の繰り上げ放送となった。通常放送の午後8時から東京都議選の開票速報を生放送するためだったが、この措置については《都議会議員選とかいうローカルニュースを全国放送でやるんじゃねぇ》《全国の大河ドラマファンを裏切るとは、べらぼうめ》といった声がX(旧ツイッター)にあふれた。


 確かに都議選は関東全域の話題ですらない。大河ドラマを押しのけてまで全国放送するのはバランスを欠いているというクレームが出るだろうが、同志社女子大教授の影山貴彦氏(メディア論)は、「都議会選挙の放送にはそれなりの意義があった」とこう指摘する。


「都議会選挙という7月の参議院選挙に近く、また、一度に選挙される定数も参議院に近いという、まさに国政選挙を占うことができる要素がある以上、報道を重視するNHKらしいのではないかと思います。通常放送たる大河ドラマを繰り上げてでも、投票終了直後の午後8時に開票速報を生放送するということに意義を感じたのでしょう。私は政治が専門ではありませんが、かつて、毎日放送でプロデューサーをしていたという『メディアに関わる者』としては理解できます」


 ただ、そんな影山氏であっても、「納得がいかない点がないわけではない」とも語る。


「私が住んでいる兵庫県尼崎市では、都議会選挙の1週間前となる6月15日に市議会選挙がありました。尼崎の市議会選挙と国政を占うことができる都議会選挙を同列に語ることはできませんが、それでも、地方議会の選挙という点では似たような要素はあると言えます。ただ『都議会選挙とそれ以外の地方議会選挙』で対応を分けるのはNHKとしては、ある意味致し方ないのではないかとも思います」


 確かに、尼崎市議会選挙があった6月15日の「べらぼう」は通常放送だった。これらを踏まえたうえで、影山氏は「あらゆる方面の顔を立てる方法はある」とも話す。


「ベストの方法が実行できるとするなら、『選挙の開票生特番を放送する週の大河ドラマは休止する』というのが良いのではないでしょうか。事実、今夏の参議院選挙が実施される週の大河ドラマは放送休止との報道が出ています。次善策としては、大河ドラマを通常放送したうえで、放送終了後の午後8時45分から都議会選挙の開票生特番、それも無理なら今回のように前倒し放送もやむなしといったところでしょうか。

ただ、通常放送をする場合でも、ドラマ冒頭の午後8時になった瞬間に大まかな議席予想のテロップは必要かと思います。もちろん、延々とテロップが出続けることになってはいけませんけどね」


 これまでも、大河ドラマと選挙の“ぶつかり合い”を良しとしない声は視聴者からたびたび上がってきたが、そろそろ、各方面が納得できる「放送休止」もアリではないだろうか。


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 東京都議会議員選挙は終わってみれば自民党が第1党の座から滑り落ちた。【もっと読む】石破自民は都議選惨敗で真っ青! 過去最低議席で都議会第1党から陥落…7.20参院選もボロボロ確実…では、自民党のお先真っ暗の現状について伝えている。


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