【碓井広義 テレビ 見るべきものは!!】


 21日に始まった、綾瀬はるか主演「ひとりでしにたい」(NHK)は、笑いながら人生の最期を学ぶ「終活ドラマ」だ。


 山口鳴海(綾瀬)は39歳の学芸員。

未婚・子なしの1人暮らしだ。ある日、憧れのキャリアウーマンだった伯母の孤独死にショックを受ける。


 鳴海は突然、「婚活」に走るが、同僚の那須田優弥(佐野勇斗)から「結婚すれば安心なんて昭和の発想」と言われ愕然とする。孤独死を回避するための「終活」に取り組むことにした。


 綾瀬にとって昨年1月の「義母と娘のブルース」正月スペシャル以来、1年半ぶりの主演作だ。コメディエンヌとしての才能を存分に発揮している。「ひとりで死にたくない!」と叫んだり「何も考えてなかった」と落胆したり、「ひとりで生きるって、そんなに悪いこと?」と自問してみたりと大忙しだ。


 初回の終盤、鳴海が壁に張っていた「ひとりでしにたくない」という手書きのポスターが床に落ち、そこに飼い猫が寝そべる。文字の一部が隠れて、「ひとりでしにたい」と読めた。鳴海が覚醒する印象的なシーンだ。


 確かに、終活は高齢者だけのものではない。鳴海が言うように「ひとりできちんと生き、きちんと死ぬための準備」と考えれば年齢は無関係だ。

終活を入り口にして、「よく死ぬには、よく生きなければならない」ことも学べそうだ。


(碓井広義/メディア文化評論家)


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