テレビからの"やらせ追放"は視聴者次第かもしれない。今年3月24日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)は、中国出身の女性が「中国ではカラスを食べる」と話したかのように放送。

しかし、その街頭インタビューの内容は編集で捏造されていたと発覚した。


 直後の31日の定例会見で、日本テレビの福田博之社長は「打ち切りはありません」と話した。2カ月後には番組名物の街頭インタビューが再開され、福田社長は「社内で再発防止策が整ったため」と説明。現在も、何事もなかったかのように放送は続いている。


「日テレは『月曜から夜ふかし』を終了させたくないんですよ。コア視聴率が高いですから。5月19日は3.8%(同8.2%)、26日は3.6%(同8.1%)です。前の時間帯から続く特番を除けば、この2週で夜10時台のコア3%台は他に、TBS系の『水曜日のダウンタウン』(19日3.8%、同5.8%。26日休止)しかありません。また、6月16日も4.3%(同8.3%)でした」(テレビ局関係者)


 現在のテレビ局は長年親しまれてきた世帯視聴率ではなく、13歳から49歳までのコア視聴率を重視している。


「日テレは最も早く、その方向に舵を切った局です。『月曜から夜ふかし』はやらせ発覚前後で、世帯もコアも視聴率はたいして変わってない。

ネット上ではやらせが問題視されていますが、視聴者は気にしていないとも言えますよね。『やらせをする番組なんて見ない』と思う人が多ければ、数字は一気に下がるはず。もしそうなれば、やらせはなくなるんじゃないですか。それが唯一の方法だと思います。でも、現実にはそうならない」(前出のテレビ局関係者)


■労働環境が変わっても番組作りのプレッシャーは同じ


 視聴者は「バラエティにやらせは付きもの」と考えているのかもしれない。ただ、バラエティに限らず、テレビ局にはやらせ問題が長年付きまとっている。


「昔と比べれば、テレビ局で働く人たちの労働環境は随分変わったと聞きますけど、番組作りのプレッシャーは同じです。プレビューでは局の総合演出、プロデューサーなどが何人も集まり、VTRにキツいダメ出しをする。その時、『事実かどうか』よりも『面白さ』を重視する。面白さとは目新しさや奇抜性です。でも、毎週、毎週目新しいことなんて起きませんよ。だから、捏造するしかなくなる。

バラエティも情報番組も同じ構造です」(元制作会社スタッフ)


 実際、福田社長は3月の会見で「(フリーランスの担当ディレクターが)とにかく面白いものにしたいという思いで意図的に編集したことが原因」と話していた。


「やらせをした作り手もいけないですけど、その上にいる総合演出やプロデューサーに最大の原因がある。ディレクターやADは、とにかく目の前のプレッシャーから解放されたいだけなんです。局員はそこに気付いているでしょう。でも、視聴率を取ることが至上命題ですからね。『嘘でも面白ければいい。数字に繋がるならいい』と考えていまうんじゃないですか。そう問われても、頷くことはないでしょうけどね。日テレは最も数字にシビアな局です。かつて社員が視聴率買収事件を起こしましたが、あれも上からのプレッシャーが原因でしょう」(前出の元制作会社スタッフ)


 また忘れた頃に、テレビ局のやらせ問題が出てきそうだ。


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 テレビ局のやらせは中々無くならないが、その一方で珍発言も。【もっと読む】東国原英夫氏がトランプ暗殺未遂事件を「やらせ」と投稿し大炎上!謝罪&撤回も批判やまず…では、東国原英夫氏の謎発言について伝えている。


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