【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 今回早かったですね、日本テレビの社長会見。国分太一氏が活動停止を発表するやいなや…って感じでしたもんね。

その割になにも具体的なことは明らかにせず、だったらなんで会見したの? と日本中がツッコミを入れたのではないでしょうか。


 そうなんです、日本テレビはここのところ『月曜から夜ふかし』のインタビュー内容捏造や、ドラマ『セクシー田中さん』問題など、自社の社員も関わった問題がいろいろ発生してたのに、緊急社長会見なんか開きませんでしたよね。ていうかそもそもどの放送局も、自社の社員がどんな不祥事を起こそうが逮捕されようが、社長が緊急記者会見を開いたためしなんかなかったような気がします。


 なのに今回だけなんでなの? それも「タレントのコンプラ違反」でなぜテレビ局が? と思うのは当たり前です。タレントの問題なら、タレントの事務所が会見を開けばいいはずでは、と一般的には思いますが、それでも記者会見を急いで開きたかった理由が日本テレビにはあったのでしょう。


■フジテレビ問題の二の舞にならないように…


 どう考えても「フジテレビの問題があったから」としか考えられません。「フジテレビみたいな目に遭わないように、会見急いでやっとこう」というのがホンネではないでしょうか。


 つまり、あの会見は、TOKIOや国分太一氏のファンに向けて開かれたものではなく、といって日本テレビ『鉄腕DASH!』の視聴者に向けて開かれたものでもなく、「日本テレビにCMを出稿してくれているスポンサーのみなさま」向けの会見だったと考えるのが自然だと思います。「うちはヤバいタレントがいたら、すぐに切ってます。コンプラちゃんとしてますから、安心してコマーシャルを出してくださいね」というのが「一番言いたかったこと」なのだと思います。
 
 だから、「ヤバいタレントを降板させたこと」だけちゃんとスポンサーに伝われば、あとはどうでもいい。長年TOKIOを応援してきたファンのみなさんが「いったいなぜ国分くんは活動を休止してしまったの? なにをしたの?」と泣こうが、日本中の記者と視聴者が「何が何だかさっぱり分からない」とモヤモヤしようが、「プライバシー保護のため申し上げられません」と、木で鼻をくくったような対応で押し切っても平気なわけです。


 だっておかしいじゃないですか? いくらプライバシーの保護という理由があったとしたって、当事者の名前とか属性を言わなければ、少なくとも「どんなコンプラ違反があったのか」をざっくり説明することくらいできますよね。常識的に。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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