東京都議選の余勢を駆って躍進してしまうのか。参院選が公示された3日、参政党の神谷宗幣代表が第一声を上げたのは、東京選挙区(改選数6+補選1)の一等地・銀座三越前。

滑り出しから「子どもを産めるのは若い女性しかいない。これを言うと〈差別だ〉と言う人がいるが、現実だ」と失言をかましたが、排外主義的なキャッチコピー「日本人ファースト」に支持者は熱狂だ。3年前に続く全国展開でどこまで支持を広げるか。


 参政党は全45選挙区に1人ずつ候補者を立て、比例代表を含む計55人を擁立。その数は自民党の79人(選挙区48人、比例代表31人)に次ぐ。計50人を擁立した3年前は、比例代表で立った神谷氏だけが当選した。


 候補者演説に先立ち、マイクを握った神谷氏は「国民の生活を守ろうというのが『日本人ファースト』に込めた思い。野放図に外国人を入れたら日本人の賃金は上がらない」と熱弁。「日本の経済は弱くなり過ぎた。自公政権には退場してもらわなければならない」と叫ぶと、老若男女100人ほどの聴衆から「そうだ~」と合いの手が入る。アッパーミドルやインバウンド御用達の百貨店前は、ミスマッチな空気に支配された。


 参政党が都議選に擁立した4人のうち3人が当選し、都議会に初めて議席を得た。

公示直前には、日本維新の会を離党した改選議員が駆け込み入党。所属国会議員が5人になり、公選法上の政党要件をすべてクリア。主要な党首討論へのキップを得た。都知事選で泡沫候補扱いだった石丸伸二氏の善戦要因は討論会参加だった。参政党の目標は「6議席獲得」だが、情勢調査を総合すると、2ケタに届きそうな勢いだという。地滑り的勝利を収めるのか。


 カルト問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう言う。


「参政党は党勢が拡大するにつれ、創成期に主張していた反ワクチンや陰謀論などを引っ込め、昨年末あたりから『日本を壊すな』『日本をナメるな』などとナショナリズムを打ち出すようになった。ただでさえ露出増は追い風なのに、大手メディアが過去のトンデモ論については詳報しないため、マイルドな国粋主義政党として位置付けられ、上り調子なのです。神谷氏のキャラがアジテーターではなく、スポークスマンなのもプラスに作用している」


 投開票は20日。かつてない注目の中、馬脚を現す可能性はゼロではない。


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 日本維新の会を離党した改選議員の駆け込み入党については、関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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