お笑いトリオ「パンサー」の尾形貴弘(48)が7月2日にX(旧ツイッター)で行った投稿が話題だ。
《バラエティーは真剣に見ないでください!!》と、強い調子の呼びかけから始まる投稿で、尾形は《バラエティーは娯楽です!!!! そうだぁーーーーー!!》と絶叫。
何のことかと言えば、パンサーが出演した6月30日放送の「しゃべくり007」(日本テレビ系)のワンシーンについて、放送終了後からX上で議論が交わされており、尾形の投稿はそれを受けてのものとみられる。
尾形は自身の娘と一緒に「しゃべくり」に出演していたが、MCの「くりぃむしちゅー」上田晋也(55)が尾形にビンタを放つシーンがあった。それを見た尾形の娘は大笑いしていたものの、視聴者からは《愛娘の前でビンタは、はっきり嫌だな。辱めのようで…》といった、放送内容に対して嫌悪感を抱いたとする声が相次いでいたのだ。
要するに、尾形はバラエティー番組で起きていることを《真に受けないで》と言いたかったようだが、ただでさえコンプラにうるさいご時世だ。ドラマや映画といった“虚構の世界”の中で尾形がビンタされても批判の声は起きないわけで、リアルと嘘が織り交ぜられるバラエティー番組は、なかなか難しいところ。尾形が訴えたように、視聴者もいちいち《真剣に見ない》ほうがいいということか。元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学の影山貴彦教授(メディア論)は「一般論として」と前置きしながら、こう語る。
「尾形さんとしては、『台本に基づいていることを頭の片隅においた上で見てほしい』と言いたかったのではないかと思います。一般論になりますが、東京のテレビ局のバラエティー番組には綿密に作られた台本があることが多いように感じます。これらを総合して、バラエティー番組は前のめりにならず、『俯瞰して視聴する』という見方がいいのかなと思っています。もちろん『俯瞰しつつ』というのは、決して『冷めた目で』という意味ではありません。
さらに影山氏は、関西のテレビ局で長年仕事をしてきたことによる「肌感」の意見をこう語る。
「傾向としては、関西のテレビ局よりも東京のテレビ局のバラエティー番組の方が、出演者は『演者』として振る舞う傾向が強いように感じます。東京の放送局が制作していた某人気バラエティー番組では、出演者が収録中にアドリブを放って爆笑を誘ったものの、すぐにスタッフから『なに勝手なことやってるんだ!』と叱責されたこともあると聞いています。関西ではこのような話は聞いたことはありません」
影山氏は「今回は出演者の娘さんが一緒に出演していたというのが、視聴者を前のめりにさせたのでは」とも。そりゃそうか。「しゃべくり」で尾形と親子出演した娘はまだ小学校低学年。目くじらを立てる視聴者も出てくるだろう。今回の一件はバラエティー番組と視聴者の距離感を見つめ直す良い機会になったようにも思える。
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