「相手はBSだというのに、完全に食われてます」というのは、朝の情報番組のプロデューサーだ。相手というのはNHKBSの大リーグ「ドジャース」戦の生中継である。
NHK関係者も「まさか、あそこまでとは!」と驚いたのが、大谷が663日ぶりに先発投手に復帰した6月17日の試合だ。NHKは急きょ地上波に切り替えて午前11時から放送したら、世帯視聴率11.9%、個人視聴率6.4%と、ゴールデンタイムの人気バラエティー並みの数字をたたき出した。
テレビ朝日系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」のレギュラーコメンテーター玉川徹も、「この時間帯ではありえない視聴率。みんな見てるなあと、びっくりした」と舌を巻いた。
大谷が出場する試合は普段からBS視聴率トップクラスだが、同時間帯の地上波番組から10%近い視聴率を奪っていることになる。
「大谷のファンは中高年女性も多く、彼女たちは情報番組のメイン視聴層です。とりわけ今シーズンはパパになったこともあって、人気は半端じゃありません。番組がドジャース戦とかぶったときは、大谷速報で何とか引き留めようとするんですが、それがかえって“じゃあ、急いで見なくちゃ”となって、チャンネルを替えられてしまう。もう、打つ手なしですよ」(情報番組プロデューサー)
7月2日の水曜日で見ると、午前10時25分から放送中だった「大下容子ワイド!スクランブル」(テレ朝系)も「ひるおび」(TBS系)も、11時に「ドジャース対ホワイトソックス」戦が始まると、たちまち視聴率が下がり始めた。
そんな情報番組側が一矢報いようというのが、7月16日の大リーグ・オールスター戦だ。午前9時試合開始で、テレビ朝日系が中継放送する。
(海原かみな/コラムニスト)