検証番組放送を他社に報じられるバツの悪さ

 元SMAPの中居正広氏(52)とフジテレビをめぐる問題に関する検証番組「検証 フジテレビ問題~反省と再生・改革~」が6日、午前10時から11時45分まで放送された。前日スポーツ紙が報じたが、フジから積極的な発信は一切なく、気づかれないうちに終えたいという気持ちが透けて見えるかのよう。

放送は、清水賢治社長(64)の謝罪から始まったが疑問の残る内容ばかりだった。


 女子アナを接待要員として呼び出す港浩一前社長(73)の「港会」の存在や、局員から大多亮元専務(66)が「女性アナウンサーは上質なキャバ嬢だ。ホステスで売れるアナウンサーがいいアナウンサーだ」と語っていたと証言。これに大多氏は「言葉の選び方が悪いということ。ご記憶されている方がいるので否定しないです」と自分は言っていないと言わんばかり。


 被害者の女子アナについて、佐々木恭子アナ(52)は当時、被害者に番組の降板を宣告し「なんとか自分がつらい経験を乗り越えて生きていこうと思っている望みをプツン、プツンって切っていくようなことをやらなくてはいけない」と涙ぐみながら振り返った。


 同志社女子大学教授(メディア論)の影山貴彦氏がこう言う。


「1時間45分を使って報じた、反省に3分の2、再生に3分の1使っていたのは認めますが、本来はフジが発表すべきでした。放送時間をゴールデンタイムにすればなおフジテレビの再生への覚悟が感じられたのでは。今回はどこか港前社長と大多元専務に罪をなすりつけてしまったようで根本的な再生にはつながらない。アナウンス室の室長が顔を出さず、お茶の間になじみのある佐々木アナの情に訴えるコメントも、物事を小さく済ませたい、ソフトランディングさせたい意図を感じざるを得ません」



日枝久氏の“武勇伝”をいきなり挟み込む違和感

 40年以上取締役を務めたフジテレビのドン・日枝久氏(87)のことになると、盟友・尾上規喜前監査役(90)が「諸悪の元凶は日枝だ、っていう世論の動きにはやっぱり納得できない」とコメント、遠藤龍之介前副会長(69)も日枝氏のリーダーシップ武勇伝を語るなど、日枝礼賛ムードという違和感。清水氏らは日枝氏に3回検証番組に出演するよう願い出たが断られたという。


「皆が日枝氏に顔色をうかがい、日枝氏の武勇伝を間に挟むなど、相変わらず日枝氏が権力のキーマンなことは明らか。3回断られたというのは自社の事情で、何十回でも頼み込んで日枝氏に出演願うべきでしょう。今回の検証番組が終わりではなく、今後も検証し、報告の時間を設けるべき。『楽しくなければテレビじゃない』の看板を下ろすような発言もありましたが、視聴者が求めているのは“民放のEテレ”ではなく、面白いコンテンツです。フジテレビは不謹慎なところは正し、進捗を報告しつつ、フジらしい面白い番組で再生に向かっていただきたいと思います」(影山氏)


 佐々木アナは10日付で編成総局編成局アナウンス室部長から、コーポレート本部アナウンス局次長に昇進。目くらましとしかいえない内容で、今回の検証番組出演と交換条件で昇進したと話題になっているが……真意はどうなのか。さらなる検証が必要だ。


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 フジテレビ問題の検証番組が放送されたのにこの体たらくでは信頼回復への道は遠い。関連記事【もっと読む】フジテレビ系「不思議体験ファイル」で7月5日大災難説“あおり過ぎ”で視聴者から苦情殺到…では、同局の「オカルト好き」ぶりを伝えている。


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