【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 俳優の吉沢亮(31)の評判がいい。人気はもちろんだが、その人間性も含め映画、テレビのプロデューサーら業界人からの評価が高いのだ。


 では、どんなところが褒められているのか。彼が主演し、横浜流星(28)との共演で歌舞伎界の人間ドラマを描いた映画「国宝」が大ヒットしているのはご存じの通り。観客動員数は500万人を超え、興行収入100億円も見えてきた。着実に“スター”への階段を上っている。


 ただし、過去の僕が見聞きした経験から吉沢に足りないもの、いや、現代の俳優たち全般にもうひとつ足りないものがある。


 吉沢は昨年12月に自宅マンションの隣室に無断で侵入し警察沙汰を起こして話題になった。泥酔して帰ってきて隣室の鍵が開いていたため、間違って入ってトイレに行ってしまった。記憶はなかったらしい。任意で事情聴取を受けたことで一部CMを降板し、2月公開予定だった主演映画「ババンババンバンバンパイア」が延期となった。


 しかし、事務所と本人が陳謝し、隣人とも話し合いの上で解決したこともあって騒動は終息。延期されていた「ババンバ──」もシレッと公開されヒットしている。


 知り合いの映画プロデューサーによると、「泥酔不祥事はよくある話」とのことで、被害者が許しているのであれば、あまり目くじらを立てることでもないという。


「吉沢は普段はおとなしいし、イケメンだけど普通にどこにでもいる好青年。ところが、役に合わせてメーク・衣装を整えると演技力で別人のようになる。主演だけでなく、殺人犯も悪役も何でもできる俳優です」


 普段は目立たない青年と聞いて、騒動の隣人も「吉沢とは知らなかった」と言っていたのだから笑える。


 もっとも、ここが昔の大スターとは違うところ。故・渡哲也さんについて石原プロの幹部がこんなことを言っていた。


「渡が演技派だとは言わない。うまいとは言えないが、渡の存在感は凄い。そこにいるだけで十分なんだ」


 確かに、渡さんだけでなく、僕が見てきた里見浩太朗や松平健は時代劇の主演ではなく、現代劇ドラマで脇役をやらせても抜群の存在感で主役以上に目立つ。彼らは隣人に気づかれるどころか、レストランに入ってきただけでも他の客が一斉に振り向く。


 僕はスターにはこの存在感というのが大事だと思う。現在、映画やドラマに主演している俳優たちには、ここが足りないと思うのだ。


 吉沢もこれから数々の作品に出演していく中、うまい役者より存在感のある役者になっていってほしい。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


編集部おすすめ