夏ドラマを見て「モッタイナイなあ」と思うことが2度、3度。


 例えば瀧内公美(35)。

朝ドラ「あんぱん」でヒロインのぶが入学する女子師範学校の厳格な教師・黒井雪子を演じ、強烈なインパクトを残したのは記憶に新しい。話題の邦画「国宝」でも喜久雄(吉沢亮)の隠し子・綾乃役として終盤の数分の出番にもかかわらず物語の核心を担う存在として観客の心を揺さぶる演技に観客の涙を誘った。


 その瀧内が「放送局占拠」(日本テレビ系)に出演。警視庁刑事部BCCT所属の捜査員・本庄杏を演じている。前作の「新空港占拠」にも出演しており、その活躍が認められ、横浜署からBCCTに異動したという設定だ。初回でソニン演じる管理官が狙撃され、本庄が指揮を執ることに。


 部下たちに指示する緊迫感ある演技はさすがだが、別に瀧内でなくてもいい。今、乗りに乗っている瀧内だからこそモッタイナイ。



安田顕はンチキ俳優に逆戻り

「奪い愛、真夏」(テレビ朝日系)の松本まりかと安田顕。このシリーズは鈴木おさむが開拓したドロドロトンチキドラマで、往年の大映ドラマを彷彿させるカオスな物語だが、好きな人にはたまらないようだ。


 ダブル主演の2人、とくに安田顕は大河ドラマ「べらぼう」の平賀源内役が評判で国民的俳優への道まっしぐらかと思っていたのに、また、トンチキ俳優に逆戻りとは。


 その昔、TEAM NACSで自由自在にオナラを放つのがウリだったから、いつまでも初心忘るべからず、ということか。

こういうものもやるというポリシーなら、それはそれでよしだが。そういえば、前クールの川栄李奈主演「ダメマネ!」(日テレ系)にも出ていた。とすると、むしろこちらが本筋なのか。


 松本まりかも昨今はご本人よりキンタロー。のものまねがおなじみ感がある。「ミス・ターゲット」「夫の家庭を壊すまで」と主演作は凡打で今回が正念場。そういう意味で「奪い愛」シリーズは本領発揮となるのか。


 とはいえ、いつも似たような役柄ではモッタイナイ。もっと違う松本を見たい視聴者も多い。また、ネタにできるトンチキドラマの主演に誰よりも喜んでいるのはキンタロー。くらいでは。


 究極のモッタイナイは「北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。」(フジテレビ系)の志田未来。

本田翼主演のこのドラマ、コミック原作でタイトルでわかるように内容はあってないようなもの。ワチャワチャを楽しむドラマのようだ。


 子役時代から演技には定評のある志田をこんなドラマで使うなんて。安達祐実を筆頭に元子役は売り手市場なのに。


「愛の、がっこう。」の中島歩に「19番目のカルテ」の田中泯……。モッタイナイ、モッタイナイ。


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