漫画家やなせたかしと妻のぶの夫婦を描いたNHK連続テレビ小説「あんぱん」は残り2カ月、いよいよヤマ場のアンパンマン誕生編に入る。


 のぶ(今田美桜)と所帯を持ったものの、漫画家としていっこうに芽の出ない嵩(北村匠海)は、暮らしを支えるため雑誌の挿絵、広告漫画、グラフィックデザイン、演劇の背景画などさまざまな“手伝い仕事”を引き受け、「ファイティングやない」(実際は「困ったときのやなせさん」)と呼ばれる。

そこでさまざまな人々と出会うのだが、その実在モデルを考察してみよう。NHKドラマ・ガイドによると--


 嵩が宣伝部社員として勤める三星百貨店は三越で、今でも包装紙に使われている筆記体の店名はやなせのデザインだ。そのころ銀座のカフェで嵩にいきなり話しかけてくる青年・いせたくや(大森元貴)は作曲家のいずみたく(第19週)。のちに、嵩の歌詞に曲をつけて「手のひらを太陽に」をヒットさせる。それをNHK「みんなのうた」で歌う歌手・白鳥玉恵(久保史緒里)は宮城まり子だろう(第21週)。劇中で当時の音声を流してほしいと期待されている。



アンパンマンは阿部サダヲ?

 たくやが連れてくる演出家で構成作家の奇人・六原永輔(藤堂日向)は永六輔(第20週)。制作・公演したミュージカル「見上げてごらん夜の星を」の舞台美術を嵩に任せる。同名の主題歌は坂本九が歌って日本レコード大賞作曲賞を受賞するが、坂本九役を誰かが演じて歌唱シーンはあるのだろうか。


 ほどけていた嵩の靴のひもを結んでやる天才漫画家・手嶌治虫(真栄田郷敦)はもちろん手塚治虫(第19週)、NHKの子ども向け番組「まんが学校」司会の落語家・立川談楽は立川談志である(第21週)。


 気になるのは、八木信之介(妻夫木聡)とヤムおんちゃんの屋村草吉(阿部サダヲ)のその後だ。八木はビーチサンダルなどを扱う会社を設立し、出版部までつくって嵩の詩集を出す。

これはサンリオ創業者の辻信太郎の史実である(第22週)。


「草吉は戦後もあんぱんを焼いて町から町への風来坊だが、先々で人々をやさしい気持ちにさせます。そのことを聞いたのぶと嵩が思いついたのがアンパンマンなんです(第23週)。そう、ヤムおんちゃんはアンパンマンのモデルだったんです」(テレビ情報誌編集デスク)


 そいえば、阿部サダヲとアンパンマンは丸顔も体形もそっくりだ。


(コラムニスト・海原かみな)


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