【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#255
有本香
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日本保守党の事務総長として7月の参院選に比例代表候補として出馬された、ジャーナリストの有本香さん。2012年の秋から2年半、「FNNスーパーニュースアンカー」(関西テレビ)というニュース番組でコメンテーターとして出演いただき、お世話になりました。
政治、経済、外交はもちろん、さまざまなニュース項目をよどみなく理路整然と話される姿がなんともりりしく、その博識さに感心していました。多くのコメンテーターのように総論でまとめるだけでなく、舌鋒鋭く、どこがいけないのかをピンポイントで指摘されるクレバーさがありました。北朝鮮から発射された飛行体が日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下したことに“外務省が遺憾の意を示した”というニュースに「どうしていつも遺憾の意だけなんですかね? 厳重に抗議するのは当たり前だし、これがもし国交のある国とのトラブルなら大使を強制帰国させるとか、もっと強い姿勢で臨んで欲しいですね。こんなことばっかりしてるから、ナメられるんですよ。波風立てないことが外交じゃないですよ」と具体的に指摘しながら怒ってらっしゃいました。そして、現在もよく使われますが「まず日本の国益を考えて」という言葉をよく口にされていたのが印象的でした。
番組は開始10分前の打ち合わせギリギリまで、刻々と変わるニュースに合わせて進行台本を書き換えることが多く、ほぼぶっつけ本番というハードな番組でした。そんな中でも有本さんは、フロアディレクターから「90秒でまとめて」「120秒でまとめて」と指示が出されると、話のスピードを調整したり、時間が多ければエピソードを足したり、どんな話題も見事に1秒も余すことなく時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる。決してCMで途中で尻切れになることはなく、スタッフの間では人間業とは思えないという敬意を込めて「ロボット」と呼ばせていただいていました。今ならさしずめ「AI」になるでしょうか。
私は構成担当として番組に関わり、有本さんとは打ち合わせのほんの数分ニュースの内容について話しただけですが、「国会議員になられる気はないんですか?」と伺ったことがありました。すると「私は無理じゃないかな。
残念ながらバッジはつけておられませんが、「国益」「国民」のために頑張っていただきたいと思います。
(本多正識/漫才作家)