【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 明石家さんま(70)が先日の「踊る!さんま御殿!!」で、仲のいい木村拓哉(52)について「NG、絶対にないのよ」と明かしていた。ドラマ撮影や吹き替えでセリフを事前に全部覚えて現場に来るのだという。

さんまは「そういうところが、あいつ嫌い」と言って笑いを取っていた。


 ドラマでNGがないというのとは違うが、話をしているさんまこそ、僕はNGがないよなぁと思っている。


 もちろん、さんまはセリフで言い間違いなどのNGはあるだろうが、突然、取材で直撃されても断るところを見たことがない。しかし、基本的にさんまは、マスコミの取材については事務所がお断りの姿勢を昔からとっている。事実、大竹しのぶと離婚した時に額に「×」印を書いて会見に登場したくらいで、およそ普段は会見や囲み取材を受けない。


 ただ、本人をつかまえると、全力でアドリブ対応してくれるのだ。僕も昔、ちょっとしたゴシップ記事が出た時、関西ローカルの深夜ラジオの生放送前につかまえたことがある。無視することもできたはずなのに、「何やねん、もう番組が始まるところやで」と言いながら5、6分も面白おかしく話してくれた。


 ラジオが始まり、局アナがつないでいたスタジオに10分遅刻で入った彼は「えらい目におおたわ」と言いながら、それをネタに15分以上も僕らワイドショーとのやりとりの様子を再現してリスナーに聞かせていた。インタビューは確か5分くらいだったのになぁ……と思ったが、話を膨らませるところなど凄い話術だった。


 また、ある時はこうだった。マスコミ各社が待ち構える自宅に車を運転して帰宅した際、殺到した取材陣に動じることなく、「わかった。

答えるから車を入れさせてくれ」と、疲れている中、取材に応じてくれたのだ。もちろん、随所で笑いを取っていたのは言うまでもない。


 落語家修業時代の仲間である嘉門タツオが新曲キャンペーンを東京で行った際は、小さな会場にサプライズ登場してくれた。「こんなん、十何年ぶり、いやそれ以上や」と言いながら囲み取材を受けてくれたものだ。


 大物といわれるタレントほど、いつ何時でも堂々と対応できる。大女優の樹木希林さんもそうで、自宅前で待っていると夜中でも彼女は「すみませんねぇ、待たせちゃって」と恐縮し、返す刀で「でも、来てるの知らなかったんだから、私が謝ることもないよね」とひとりノリツッコミをしながら笑顔で自宅に引き入れてくれたものだ。


 セリフNGなしも凄いが、どんな場面でも言葉をつなぐ彼らの方にも僕は舌を巻く。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


編集部おすすめ