永尾柚乃(8)でないと、ここまで盛り上がらなかったかもしれない。斎藤工(44)主演の連ドラ「誘拐の日」(テレビ朝日系=火曜夜9時)の話。

原作は、2023年に放送されて話題になった韓国の同名ドラマ。心優しいがマヌケなオジサン誘拐犯・新庄政宗(斎藤)と、柚乃ちゃん演じる記憶喪失の天才少女・七瀬凛が、正体不明の男たちに追われ、共にピンチを乗り越えるうちに心が通い合う――なんてお話だ。


 レビューサービスFilmarksでの評価は5点満点で3.4(8月25日現在)とまずまず。テレビの無料配信サービスTVerのお気に入り登録数は64万超えで、夏ドラマの中では7位あたりにランクイン。初回の世帯視聴率は6.6%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)で、その後下がりはしているものの、8月19日放送の第7話は5.5%と、ほぼ全話5%台をキープしているのは「状況的に見てかなりの善戦」とテレビ誌ライターがこう続ける。


「火曜夜9時は裏番組にも連ドラがある。森川葵さん主演の『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』(フジテレビ系)です。こちらはスタートが遅く、すでに『誘拐の日』が何話か始まってからの放送だったので苦戦しているとはいえ、ドラマがかぶれば数字は割れる。それで5%台なら、今期の火9ドラマ対決は『誘拐の日』に完全に軍配が上がったと言っていいですし、それは何と言っても柚乃ちゃんの演技が初回から完璧だったからです」


 永尾の子役デビューは1歳半で、2018年放送の連ドラ「コールドケース2~真実の扉~」(WOWOWプライム)。その名を世間に広く知らしめたのは、2023年放送の安藤サクラ(39)主演の連ドラ「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)だ。安藤演じる麻美の幼少時代が永尾で、その演技力で「令和の天才子役」の名をほしいままに。今やCMやバラエティー番組に引っ張りだこだ。


「バラエティーでも、《頻繁に呼ばれるのも分かるな》と思わされる見事なトーク力、対応力を見せていますよね。『誘拐の日』の初回放送後には《こまっしゃくれた演技》というような視聴者の感想がありましたが、それこそがこのドラマの狙っているところで、その声が出た時点で大成功。凛はこまっしゃくれた天才少女なので、そう見えないとドラマは成立しませんから」と話すのはドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏。さらにこう続ける。


「『ブラッシュアップライフ』でもそうでしたが、柚乃ちゃんは目の演技が抜群。冷めた目、深い悲しみをたたえた目、うれしさを存分に表現した子ども特有の輝きある目。くるくる変わるまなざしに魅了されます。『誘拐の日』の凛役では、時に海外ドラマの登場人物のような大人びたオーバーリアクションが笑いを誘い、視聴者を引きつける。ほぼほぼ斎藤さんとのダブル主演ですよね」


 主演の斎藤も本来の持ち味である“色気”を完全封印し、冴えないおじさん役が《板についている》と評判だ。


「斎藤さん演じる政宗と、柚乃ちゃん演じる凛の疑似親子の愛情が深まっていくにつれ、視聴者がその絆に涙する回が増えています。今後はさらなる柚乃ちゃんの渾身の演技が見られそうで、号泣を覚悟しないといけないかもしれませんよ」(エンタメ誌編集者)


 令和の天才子役の名演技は必見だ。


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 往年の天才子役、名子役は今、何をしているのか? 【関連記事】に画像付きで網羅しているから必読だ。


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