【芸能界クロスロード】
Hey! Say! JUMPの中島裕翔が8月28日付でグループを卒業。“STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)”に所属しながら今後は俳優を主軸に活動するという。
脱退者が出ることに驚きはないが、発表と同時に卒業はかなりレアケース。芸能関係者は「発表から正式に脱退まで時間が空けば、あらぬ噂が飛び交い、ファンを動揺させる恐れがあるからでは」という。
故ジャニー喜多川氏がつくり上げたジャニーズ事務所は「アイドルの学校」といわれ、アイドルに憧れ入所した子たちは、グループ活動を経て卒業していく。
実際、多くのアイドルが事務所を退所(卒業)していった。中島も事務所に入って21年。32歳になった。卒業する理由を「お芝居に対する強い思いがありました」と、アイドルの肩書を捨て「俳優」という明確な目標に向かう決意という。
アイドルが卒業する時、進む道は俳優・タレント・歌手が主な進路だが、ソロ歌手になるアイドルは少なく、大半はタレントか俳優の道を選ぶ。タレントは芸人がひしめく世界。アイドル出身者にとってかなりハードルは高い。
「バラエティーのひな壇は新陳代謝が激しく、新しい人が現れれば押し出されるように席はなくなる。司会も、話術と好感度の高い芸人と競うことになる」(テレビ関係者)
その点、主役にこだわらなければ俳優は芸能界で生き残る賢明な選択。
主演クラスだけでも、佐藤健、山崎賢人、松坂桃李と実力、人気を兼ね備えた俳優が揃うなか、映画「国宝」の大ヒットで吉沢亮と横浜流星も加わり、制作者からは「みんな使いたい」とうれしい悲鳴も上がるほど。
ここに割って入る中島。これまでのアイドル人気だけでは太刀打ちできない。
「アイドル時代は人気ありきで、ドラマの仕事も入りやすかったが、今は作品の役によって適した俳優を監督、プロデューサーが選ぶ時代。指名されるだけの俳優にならなければならない」(映画関係者)
多くの若手俳優が所属するのは俳優のマネジメントに特化した大手事務所。吉沢は「アミューズ」、横浜は「スターダスト」と、俳優の売り方のノウハウを知り尽くし実績のある事務所。中島も芝居に強い事務所へ移籍するのがベストだが、今の事務所がどこまで中島に力を入れてくれるかもポイントだ。
近年のグループ脱退者で事務所に残り俳優活動をしているのは3人。同じ“Hey!--”の岡本圭人と“NEWS”の内博貴の2人は舞台を中心に活動。まだ出演作品が大きな話題になったことはない。
昨年3月“Sexy Zone”を卒業した中島健人は今年のドラマ出演はなく、2月に主演映画「知らないカノジョ」が公開された。
「公開時はランキング2位になりましたが、その後はジリ貧。最終的な興行収入は5億円弱と芳しくなかった。アイドル時代からのファン離れも心配されています」(映画関係者)
アイドルを卒業して役者に専念する中島裕翔。いいスタートを切れるだろうか――。
(二田一比古/ジャーナリスト)