韓国を大揺れさせた「12.3非常戒厳」から9カ月。罷免された尹錫悦前大統領は内乱首謀罪で起訴されたものの、全面的に争う姿勢を崩さない。
大統領経験者夫妻が逮捕される前代未聞の事態となる中、話題のドキュメンタリー映画「非常戒厳前夜」が6日、東京・ポレポレ東中野で公開される。製作したのは、夫妻の疑惑を追及してきた調査報道専門の非営利メディア「ニュース打破」。3日の先行試写会にキム・ヨンジン監督が登壇し、「映画を通じて韓国の現状、尹錫悦という人間の本質を知ってほしい」と訴えた。
■日韓雪解けの裏でモーレツ言論弾圧
安倍元首相-文在寅元大統領時代に「戦後最悪」と呼ばれるほど冷え込んだ日韓関係の雪解けに積極的だった尹前大統領をめぐり、日本のメディアは好意的に報じてきた。ところが、2022年5月の就任以降、モーレツに国内言論を弾圧。標的にされたのがニュース打破だ。
検察総長就任を控えた尹前大統領の不正を報じたことから因縁が始まり、23年9月に検察がオフィスのほか、当時代表だったキム監督やベテラン記者2人の自宅もガサ入れ。尹前大統領に対する名誉毀損の疑いで起訴された。常軌を逸した戒厳令に突き進んでいく尹前大統領の動きを描いたのが、このドキュメンタリーだ。
キム監督は尹前大統領との対決の端緒となった検察総長任命にあたっての国会の人事聴聞会を振り返り、「罪の意識なく嘘をつく人間を検察総長にしてはダメだと直感した。尹錫悦は希代の狂人。
一方、政権から目の敵にされたことで市民の支援は拡大。会員は約6.2万人まで増え、任意の会費は月平均1.5万ウオン(約1600円)だという。毎月9900万円ほどの収入を取材活動費にあて、12年の設立以来、企業広告に頼らず活動を続けている。
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