これで「石破おろし」はさらに加速するのではないか──。2日、自民党は参院選の大敗を総括する「両院議員総会」を開催。
挨拶に立った石破首相は、自らの進退について「地位に恋々とするものではない。しがみつくつもりもまったくない。しかるべき時に決断する」と表明した。
一国の総理が「地位に恋々としない」「しかるべき時に決断する」と口にすれば、近いうちに総理を辞めるのだろうと受け止められるのが普通だ。本人が自ら辞任を決断すれば、わざわざ「石破おろし」をする必要もない。
ところが両院議員総会の終了後、記者団から「しかるべき時に決断する」とはどういう意味か、発言の真意を問われた石破は、経済対策や防衛力強化などの政策課題を挙げたうえで「まず国民の皆さん方がしてほしいと思っていることに全力を尽くす」と“続投宣言”している。党内のアンチ石破派は「首相は居座るつもりだ」と、反発を強めているという。
「事実上の『石破リコール』となる総裁選の前倒しを求めるかどうか迷っていた中間派も含めて、石破首相が両院議員総会でどんな挨拶をするか聞いてから判断しようという議員も多かった。石破首相が“防衛問題”まで政策課題として挙げたことで『ああ、この人は辞めるつもりはないな』と、多くは受け取ったはずです。防衛問題は月単位ではなく、年単位ですからね。それに“しかるべき”とはいつなのか、“決断”とはなにを指すのか、最後までハッキリしなかった。アンチ石破派の『石破おろし』の動きは一気に強まっていくはずです」(自民党関係者)
「172人」までのハードルは高くなくなった
総裁選の前倒しを求める声は、過半数を占める可能性が高いという。
NHKによると、自民党国会議員295人のうち、総裁選の前倒しに「賛成」は約100人、「反対」約50人、「未定」約100人、「回答拒否」約30人、「接触できず」が約10人だったという。県連代表者47人のうち、少なくとも過半数は「賛成」と見込まれることから、前倒し実施に必要な「172人」まで、あと40~50人で達する。ハードルは高くない。
総裁選の前倒しが決定したら、石破首相はどうするのか。取り沙汰されているように、衆院の解散に踏み切るのか。
「総裁選の前倒しが決まったら『選択肢は3つある』と石破首相は周囲に語っているようです。1つ目は、ギブアップして退陣する。2つ目は、自分も総裁選に出馬する。3つ目は、解散総選挙に踏み切るです。自分も総裁選に出馬するかどうかは、どのくらいの数で総裁選の前倒しが成立するかによるでしょう。もし、ギリギリ僅差での成立だったら出馬する可能性もあるでしょうが、大差で可決されたら、さすがに出馬できないでしょう。3つ目の衆院解散は、常識では難しいですが、可能性はゼロじゃない。
総裁選が前倒しされるかどうか、答えは9月8日に出る。
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