自民党が大敗を喫した参院選から約6週間が過ぎ、ようやくだ。自民は2日の参院選総括委員会で総括報告書を取りまとめ、両院議員総会に諮る。
「国難ともいうべき厳しい状況に直面している。今最も大切なことは、国政に停滞を招かないことだ」──。石破首相は参院選の投開票から一夜明けた7月21日、そう言って続投を表明。衆院選、都議選、参院選の3連敗の責任をかわすためのエクスキューズが、物価高対策やトランプ関税の「着実な履行」だった。
しかし、実際はどうか。先月4日の衆院予算委員会で物価高対策の必要性について石破首相は、「国民の期待に応えるのがわれわれの責務だ」と与野党協議に前向きな姿勢を見せたものの、自民党内の政局のせいで停滞。野党が今年11月の開始を求めるガソリン税の暫定税率廃止は、与党が財源論を盾にして進まない。日米関税は「着実な履行」どころか、そもそも「合意」と呼べるかどうかすら怪しくなってきた。
続投の前提が崩れつつある中、石破首相は今ごろになって、政府・与党に経済対策の策定を指示するという。物価高対策とトランプ関税への対応を打ち出し、政権存続を訴える狙いだ。1日の日経新聞(電子版)が報じた。
参院選が終わってからというもの、石破自民は与野党の垣根を越える努力を脇に置いて政争に没頭。総裁選の前倒しが焦点となっている今のタイミングで経済対策の急ごしらえとは、延命のための姑息なアリバイづくりに他ならない。
「内閣支持率は上がっているものの、やはり参院選の結果を受けて内閣としての責任は取るのが筋です。本気で国民生活を考え、経済対策を講じるつもりなら、なぜ、参院選直後から取り組まなかったのか。なぜ、国民が求める消費減税ではなく、猛批判を浴びた1人2万円給付をゴリ押ししたのか。ロクな対策が出てくるとは思えませんが、今は『何を言ったら世論にウケるか』を考えているだけでしょう。国民生活を考えているというより、できるだけ世論を味方につけて『石破おろし』を牽制する下心が透けます」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
政治家が進退を問われた場合、「職務を全うする責任がある」と居直るのは、もはや常套手段。石破首相もしかりである。
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