50日間の自民党内抗争に敗れ、石破首相が7日、退陣を表明。舞台は総裁選に移った。

党員・党友投票も行われるフルスペック型で実施され、今月22日告示、来月4日投開票の日程になりそうだ。


 8日は茂木敏充前幹事長(69)が一番乗りで出馬の意向を表明。林芳正官房長官(64)は旧所属派閥の会長だった岸田前首相に会い、出馬の意向を伝えた。高市早苗前経済安保相(64)も出馬の意向を固めたらしい。小泉進次郎農相(44)はきのう総裁選への対応について「党の一致結束のために自分が何ができるかよく考えたい」と発言。他に小林鷹之元経済安保相(50)も出馬するとみられているが、早くも永田町では情報戦が始まり、“怪情報”が飛び交っている。


「菅、麻生、岸田の首相経験者3氏が、揃って進次郎農相を支援する方針だというのです」(自民党関係者)


 今度の総裁選は「進次郎氏と高市氏が軸」とメディア各社が報じている。「次の首相」でトップになるなど世論人気が高く、日本維新の会や国民民主党との連立交渉が進めやすいとされる進次郎氏が最有力とみられているが、進次郎氏の後見役は菅副総裁だ。その菅氏とキングメーカー争いをしている麻生最高顧問や岸田氏が進次郎氏に乗るとは考え難いが……。


「麻生さんは一時は、『次は高市』で検討していましたが、高市さんでは支持の広がりを欠くため、今は微妙です。麻生さんは茂木さんとも会っている。ただ、麻生派が消去法で茂木さんを支援する可能性はあるものの、茂木さんでは勝ち目がない。

この1年、麻生さんは非主流派に甘んじ、今回は主流派に戻りたいはずです。旧岸田派からは林さんが出馬する。岸田さんも林さんをやるしかないが、本音では旧岸田派トップの世代交代を進めたくない。進次郎さんが優勢となれば、麻生さん、岸田さんが揃って勝ち馬に乗ろうとする可能性はある」(政界関係者)



勝ち馬に乗り総主流派体制

 その進次郎氏も常々、麻生氏や岸田氏への配慮を怠らない“ジジ殺し”だ。参院選大敗後の8月上旬、コメ政策の説明などを理由に、それぞれと会談している。


 石破首相についても、自身の後継を進次郎氏と考えているのではないかとの見方がある。6日に菅氏とともに公邸に乗り込んで「石破に鈴をつけた」とされる進次郎氏だが、「2時間の会談で『石破政権の政策を私が引き継ぐ』と伝えたのではないかともいわれている。石破さんも、高市首相になって自分の政策が百八十度ひっくり返されるくらいなら、進次郎さんの方がいいだろう」(前出の政界関係者)。


 元首相に現首相も加えて、首相経験者4人が一気に進次郎に雪崩を打つのか。


 思い出されるのは、菅氏が選ばれた2020年の総裁選。持病悪化を理由に当時の安倍首相が任期途中で辞任。臨時の総裁選が行われたのだが、あれよあれよという間に、5派閥が菅氏に雪崩を打ち、総主流派体制がつくられた。


 もっとも、「経験不足の進次郎氏では短期政権のワンポイントで終わる」(前出の自民党関係者)という声もある。次の総裁も政権運営で多数野党に苦しめられるのは確実で、進次郎氏が今回は出馬を回避する可能性もなくはない。


 号砲が鳴り、多数派工作が始まっているが、結局は旧態依然のキングメーカー政治や派閥政治だ。自民党は中身を替えなきゃ、ただ表紙を替えるだけではどうしようもない。


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 自民党総裁選をめぐるさまざまな臆測については、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。


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