「ポスト石破」候補が蠢いている。
自民党は9日の総務会で、石破首相の退陣表明に伴う総裁選について、党員投票を含むフルスペック型とすることを正式に決定。
参院選では自民支持層が参政党に流れたとされ、党関係者からは「保守層を取り戻せるリーダーを選ばないといけない」との声が漏れる。その筆頭格と目されているのが、高市早苗前経済安保相だ。9日の産経新聞によれば、立候補に必要な20人の推薦人確保にもメドをつけたという。本人はヤル気満々だが、大きな落とし穴がある。
「高市さんにとって目の上のたんこぶは、出馬に意欲を持つ『コバホーク』こと小林鷹之元経済安保相の存在です。2人とも右派思想の持ち主で、党内では『キャラがかぶる』と言われるだけに、票を食い合う可能性がある。小林さんは党の刷新を求める中堅・若手から支持され、高市さんは守旧派に支えられている。厳密には支持層は異なるのですが、選挙戦では似通った政策を訴えることになりそう。小林さんが保守票を高市さんから奪うのは確実です」(永田町関係者)
「ボクは保守中道だ」と主張
こうした事態を予測し、前回総裁選で小林氏を支援したある自民党関係者は、高市氏との一本化を要請した。「今回は1回休むべきじゃないか」と小林氏に不出馬を勧めたが、本人は拒否。「ボクは保守中道で、高市さんのような極端な保守派ではない」と訴え、あくまで出馬に前向きな姿勢を示したという。
「小林さんは前回の総裁選初出馬で知名度がグッと上がったのに、今回見送れば、また埋没してしまうかもしれない。本人は、勝てなくとも出続けることで顔と名前を売るべきと考えているはずです」(官邸事情通)
現状のままだと、保守票の分裂が必至なことは、高市本人も分かっているようだ。閣僚経験者とは思えないほど地道な「票固め」に邁進し、「参院選後に安倍元首相の地元・山口に入り、参加者わずか100人程度の集会に出席していた」(県政関係者)という。
今月末には都内の定員300人ほどの小規模ホールで行われる集会にも駆け付ける予定だ。
「当選10回のベテランで、閣僚のみならず党役員まで務めた高市さんが、これだけミニ集会に出向くとは驚きです。ここまで票固めに力を入れるのは、焦りの裏返しでもあるのでしょう」(前出の官邸事情通)
意欲満々の小林氏の存在に焦る高市氏。保守系総裁候補は食い合い、共倒れしかねない状況だ。
「いまや2人とも党内保守派の代表格となっています。しかし、ある党重鎮は『高市も小林も以前はこんなに右寄りじゃなかった。もっとフラットだったはずだよなぁ……』とこぼしています。選挙戦中に正体を露呈し、2人とも支持を失う展開もあるかもしれません」(前出の永田町関係者)
まさかの“ビジネス右翼”か。
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