「正式表明に向けて一つ一つ積み上げていきたい」──16日の閣議後会見で、小泉進次郎農相が自民党総裁選に立候補する意向を打ち明けた。
「党が1つにならなければいけない。
当然のことを特別のように語る「進次郎構文」は相変わらずだが、意外なのは会見で認めた“助っ人”だ。昨年の前回総裁選で争った加藤勝信財務相に自ら陣営の選対本部長就任を打診し、受け入れられたというのだ。
加藤氏は保守系議員連盟「創生日本」の主要メンバーで、義理の母で加藤六月元農相の妻・睦子氏と安倍元首相の「ゴッドマザー」洋子氏が親しいこともあり、2012年総裁選では安倍氏の返り咲きに尽力。安倍・菅両政権で官房長官と副長官を計約4年務めるなど要職を歴任してきた。
「前回は1度目の投票で9候補中最下位に終わり、決選では同じ保守系の高市さんに票を回したとされる。進次郎さんの後ろ盾の菅元首相とも近く、加藤さん起用は今回ライバルとなる高市さんの票を奪うため、菅さんの意向が働いたともっぱらです」(自民党関係者)
さもしい票欲しさ、農水族の術中にハマる愚かさ
進次郎氏は前回の公約に選択的夫婦別姓制度の導入を掲げたが、今回は封印する。保守系からも支持を集めたいからで、票欲しさに自分の信念を曲げる姿はさもしい。そもそも信念があるのかさえ疑わしいが、世間が期待を寄せる「刷新感」はゼロ。もっと言えば、次期首相に必要な「実行力」はマイナスである。
進次郎氏といえばコメ政策が命。石破政権下で打ち出した「減反から増産へ」を総裁選の金看板に掲げるに違いないが、早くも綻びが生じている。
農水省は来年度予算の概算要求で「水田活用の直接支払交付金」を温存した。「減反補助金」とも呼ばれ、麦や大豆のほか、主食用から飼料用に転作しても受け取れるため、事実上の減反政策の推進に使われてきた。
要求額は今年度と同額の2760億円。概算要求総額の1割超を占める。一方、コメ増産に伴う輸出拡大支援の「新市場開拓促進事業」に200億円を計上し、今年度の110億円からほぼ倍増させたが、減反補助金の10分の1に満たない。増産への本気度に疑問符がつく概算要求なのである。
農水省の担当者は「自給率向上のため、転作により国産の麦や大豆を増やすのも重要。大臣も理解されている」(農産局企画課)と語り、進次郎氏は「(交付金を)大きく動かすのは令和9(27)年度。まだ大きく動かすべきじゃない」と逃げ口上を平然とたれるのだ。
「コメ政策の大転換に反発する自民党農水族の働きかけにより、実は概算要求には『需要に応じた増産』との文言が盛り込まれた。需要が減れば生産量を抑えるようにも読め、従来の減反を継続させる骨抜き策です」(農水省関係者)
そんな意図を知ってか知らずか、進次郎氏は会見で「需要に応じた増産」と連呼している。コメ政策の大転換は立ち消え必至。
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小泉氏は総理候補としては賛否両論。さらに妻でフリーアナウンサーの滝川クリステル(47)の存在が、小泉氏「否定派」には大きく影響しているようで……。●関連記事【もっと読む】『総理候補の小泉進次郎氏が注目される裏で…妻・滝川クリステルが「ネットの虚偽」に警告も止まぬ批判』で詳報している。