テレビの報道番組・情報ワイドはもう自民党総裁選一色で、その茶番を批判するでもなく、お祭り騒ぎと出馬した連中の宣伝ばかりだ。なかでもTBS系「ひるおび」がひどい。


 田崎史郎(政治ジャーナリスト)はじめ、政治記者の岩田夏弥(TBS)、佐藤千矢子(毎日新聞)、林尚行(朝日新聞)らが連日出演して、候補者たちのこざかしい駆け引きや票読みを1時間以上も解説。さらに、米作農家やスーパーなどを訪ねる候補者たちの話題づくりパフォーマンスの映像を次々に流す。


「司会の恵俊彰は『ポスト石破に一番近いのは誰なんでしょうか』などと大はしゃぎです。まるで自民党のホームページですよ」(報道番組元キャスター)


 91万人の自民党員・党友を除けば、99%の国民はまったく関与できないイス取りゲームを、ここまで時間を割いて取り上げる必要があるのか。さすがに、「やり過ぎじゃないか」と出演者たちも眉をひそめている。



マトモなのは、ふかわりょうと、にしおかすみこだけ

 水曜コメンテーターのふかわりょう(タレント)は、「公共財産の電波を、こういう形で、10月の4日までですか、使うことに対して、(自民)党キャンペーンになっていて……。日本をどう持っていくのか、10年後、20年後の未来を、どういうビジョンを描いているのかというのを、電波を使うのであれば、そこを伝えてほしいなと思います」と痛烈批判した。


 自称一発屋芸人のにしおかすみこ(月曜コメンテーター)が、「立て直してほしいのは自民党じゃなくて、日本でしょ。こういう内々のことばっかりを見せられて、そのうち今年終わっちゃうんじゃないって思ったりはしますね」と突っ込むと、SNSでは「その通り!」と拍手喝采となった。


 他の情報ワイドも似たり寄ったりなのだが、なぜ「ひるおび」がとりわけひどいのか。


「『ひるおび』のメイン視聴層は中高年女性で、小泉進次郎や高市早苗は食いつきがいいんです。ただ、総裁選でも政策などはあまり関心がなくて、エピソードや裏話がウケる。

究極のポピュリズムで、結局、自民党PRですよ」(報道番組元キャスター)


 しかし、小泉が首相になれば、キャッチフレーズばかりの空っぽ政治だろうし、いまだにアベノミクスを信奉している高市早苗なら、赤字国債の乱発で円安物価高だ。総裁選に期待できるものなど一つもないことぐらいは、「ひるおび」も伝えてよ。


(コラムニスト・海原かみな)


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