週末の地方首長選挙で、“参政党印”の候補にNOが突き付けられた。


 5日に行われた石川県加賀市長選挙。

4期目を目指した現職・宮元陸市長(自公推薦)が、無所属新人に約6000票差で惨敗する波乱が起きたのだ。


 実は、落選した宮元市長は、かねて参政党との関係が取りざたされていた。


 参政党の神谷宗幣代表は、2020年7月に加賀市に移住。「加賀プロジェクト」と称して、認可外保育園やフリースクール、高校生や大学生を対象にした私塾「加賀塾」を開設した。そのため、参政党支持者は加賀市を「聖地」と呼んでいるのだが、神谷代表の活動に対し、閉校した校舎を無償貸与するなどサポートしたのが、宮元市長だ。


 市側は貸与にあたり「政治活動が確認されたら使用中止」としていた。しかし、加賀塾は多くの参政党関係者を講師として呼んだほか、フリースクールを運営する法人が校舎の体育館で宗教行事である新嘗祭を実施。「市の財産が政治利用されている」との批判が巻き起こり、市議会で何度も取り上げられるなど、物議を醸した。


 選挙期間中も、両者は親密っぷりをアピール。宮元市長は告示日、同時に行われた市議選に出馬していた参政党候補の個人演説会に出席。演説会には、神谷も東京から駆けつけていた。参政党関係者のSNSには、宮元市長と神谷が並んでガッツポーズする写真が投稿されている。


 現職市議のひとりは「自公推薦への逆風だけでなく、参政党との関係が市長の敗因のひとつではないか」と、こう続ける。


「宮元市長の参政党との“癒着”に対し、市民には反感が高まっています。たしかに石川県は保守王国ですが、市民から『参政党の極右思想にはついていけない』との声が上がっている。自民党市議の中でも、市長と参政党の関係を良く思わず、一歩引いた態度を取る者もいる。参政党との接近は、逆効果だったと思います」


■政党支持率も下落


 共同通信が6日発表した世論調査で、参政党の政党支持率は先月から2.8ポイント下落し、8.1%だった。国民民主(9.6%)に野党1位を奪われ、立憲民主(8.8%)にも追い抜かれてしまった。


 高市早苗新総裁誕生で自民党の保守路線回帰が進み、“キャラかぶり”で票を奪われる懸念も強まる参政党。党勢拡大のイケイケムードに早くも陰り。衰退はすでに始まっているのか。


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 参政党はどこへ向かうのか。【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。


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