【その他の写真:東京・青梅市にある「青梅食堂」2025年8月2日撮影】
東京・青梅市にある「青梅食堂」も、そんなネパール人シェフが腕を振るう人気店だ。ランチタイムには、バターチキンカレーやマトンカレーなど、本場のスパイスが効いた本格的なカレーを求めて多くの客が訪れる。店を切り盛りするネパール人シェフの真摯な仕事ぶりは、地元住民からも高い評価を得ている。こうした個別の交流が、日本社会にネパール人が溶け込む一助となっている。
ネパール人移住者の急増は、経済的な理由だけでなく、その真面目な国民性にも起因すると言えるだろう。ヒマラヤ山脈の麓で育まれた質素で誠実な国民性は、日本の「勤勉」「礼儀正しさ」といった価値観と響き合う。日本語を熱心に学び、与えられた仕事に責任を持って取り組む彼らの姿は、多くの日本人から好意的に受け止められている。
しかし、こうした良好な関係にも課題は存在する。象徴的だったのが、2025年大阪・関西万博におけるネパールパビリオンを巡る一連のトラブルだ。当初、自前でのパビリオン建設を計画していたネパール側は、資金難や手続きの遅れから建設を断念したのだが、すったもんだして7月20日にオープンに漕ぎつけた。
万博のトラブルは、両国間の友好関係に影を落としかねない出来事だった。だが、これを機に、日本の支援機関や民間企業がネパール側の課題解決に向けて積極的に関与する動きも見られた。政府レベルでも、今後の協力関係を再確認する機運が高まっている。このトラブルは、むしろ両国が抱える課題を浮き彫りにし、より強固な関係を築くための貴重な教訓となったと言えるだろう。
ネパール人の日本社会への定着が進む中、彼らがもたらす食文化や多様性は、日本の地域社会に新たな活力を与えている。青梅食堂のような存在は、その小さな一例に過ぎない。今後、両国間の経済・文化交流がさらに深まることは間違いない。大阪万博での苦い経験を乗り越え、真摯で勤勉なネパール人との間に築かれる絆は、日本の未来を考える上で、かけがえのない財産となるだろう。
【編集:NH】