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社会背景と現状、若者の失業率が過去最高水準に
中国都市部の16歳から24歳の若者失業率は20%を超え、過去最高を記録している。この深刻な雇用状況の背景には、毎年増加する大学卒業生の供給過多や、経済減速による企業の採用縮小がある。これにより、多くの若者が職を得られないだけでなく、将来への希望を描くことも困難になっている。
不動産市場と「家を買わない」選択
中国の不動産市場は、大手企業の破綻をきっかけに深刻な危機に直面している。にもかかわらず、都市部の住宅価格は依然として高水準にあり、多くの若者が家を購入できない状況だ。家を持つことが結婚の前提とされる中国社会では、この現状が結婚率の低下や「家を買わない」という選択を助長している。
出生率低迷の要因
一人っ子政策の撤廃後も中国の出生率は依然低迷している。その背景には、高騰する教育費や子育てコストがある。経済的余裕がない若者にとって、子育ては大きな負担となり、「子どもを持たない」という決断に繋がっている。
現実からバーチャル世界への移行
経済的・社会的なプレッシャーから逃れるため、若者たちはスマートフォンゲームの世界に没入している。特に、バーチャルキャラクターとの恋愛が楽しめる恋愛シミュレーションゲームが人気を集めている。
これらのゲームでは、完璧な容姿や性格のキャラクターとの恋愛体験を提供するほか、現実で感じる高額なコストやプレッシャーを伴わない安心感をもたらしている。さらに、ゲーム内で承認欲求や幸福感を満たせることが、若者にとっての「シェルター」となっている。
政府の取り組みと今後の課題
中国政府は若者の失業率改善や出生率向上を目指し、多様な政策を打ち出している。しかし、こうした政策が根本的な社会・経済構造の問題を解消するには至っておらず、「四不青年」の増加は依然として続いている。この現象は、中国が直面する構造的課題の象徴として、深刻な社会的警鐘を鳴らしている。バーチャル恋愛の拡大は、その警鐘をさらに大きな音で響かせている。
【編集:YOMOTA】