日本の住宅政策は、新築を増やすことから、既存住宅を安全に長く使う方向へ重心を移しつつある。資材価格や人件費が上昇するなか、傷んだ箇所を早めに修繕し、断熱・省エネ性能を高める改修は、家計だけでなく地域の住環境を守る手段となった。
もっとも、住宅工事は完成後でなければ品質を見極めにくい。発注者と施工側の情報差が大きいことが、この市場に根深い不安を残している。
その不安につけ込む訪問販売や点検商法は、日本でも後を絶たない。国民生活センターによると、2024年度の訪問販売によるリフォーム工事の相談は9,820件、点検商法の相談は1万9,215件に上った。「今すぐ直さなければ危険だ」と契約を急がされても、必要な工事か、見積額は妥当かをその場で判断するのは難しい。安心して比較できる基準をどうつくるかが、業界全体に突きつけられている。
この課題に向き合い、地域密着の施工体制を全国へ広げようとしているのが株式会社やまもとくんだ。外壁塗装や屋根工事を軸に、水回り、内装、太陽光・蓄電池まで住宅関連サービスを手掛け、インタビュー時点では直営16拠点、フランチャイズ約10拠点を展開していた。山本雅俊代表が住宅リフォームの営業を始めたのは23歳。25歳で独立してから約10年間、現地調査、見積説明、施工、引き渡し後の対応まで、まず直営の現場で一つずつ磨いてきた。

【その他の写真:山本雅俊代表】

全国展開より先に、同社が時間をかけたのは直営現場での検証だった。約10年にわたり顧客対応と施工を重ね、外部へ広げられる基準を固めてからFC展開へ踏み出した。
住宅リフォームは、一軒ごとに建物の状態も顧客の事情も異なり、看板や営業力だけでは品質を再現しにくい。だからこそ、成功した方法だけでなく、失敗や判断に迷った場面まで加盟店へ渡せることが、店舗数とは別の信用を生む。
その10年で培った基準を各地へ届けることが、山本氏の描く全国展開である。「すべての工事を自社で受けたいわけではない」と話し、目指すのは、リフォームを考えた人が最初に思い出し、相見積もりの一社に加える存在だ。比較の基準となる会社が身近にあれば、価格や工事内容について質問しやすくなり、悪質な訪問販売や不必要な高額契約を避けるきっかけにもなる。
安心して比べられる市場を地域で形にするには、相談を受ける距離も重要になる。同社は拠点周辺へ素早く対応できる商圏を重視する。雨漏りや設備故障など、住宅の相談には時間を争うものも少なくないからだ。近くに担当者がいる距離感を保ちながら、説明、施工、保証、アフター対応の基準は全国でそろえる。この「地域密着」と「共通品質」の両立が、FC戦略の成否を分ける。
施工と運営の仕組みに加え、信用を動かしたもう一つの転機が、山本氏自身の情報発信だった。『令和の虎』『REAL VALUE』やSNSへの出演を重ねるうち、工事やFC加盟の相談が増えた。
現在では、その経験を生かして「やまもとくん倶楽部」を主宰。経営者限定コミュニティとして、SNS・YouTubeによる発信設計、事業相談、協業、案件紹介の場を提供している。個人の発信を本人だけの認知で終わらせず、企業同士の事業基盤へ広げようとする試みだ。

顔が見えることは、信用の入口にはなる。だが、それだけで施工品質が証明されるわけではない。経営者が判断基準を継続して公開し、批判も受け止める立場に立つことは、情報の非対称性が大きい業界における説明責任の一つである。問い合わせやFC希望が増えたという反響以上に、その注目に見合う品質を発信後も守れるかどうかが、最終的な信用を決める。
その知識循環の中枢となる本部には、成功した営業トークを配る以上の役割がある。現地調査で見るべき箇所、見積書を説明する順番、追加工事が生じた際の伝え方、完工後の連絡までを共通化する一方、住宅ごとの差異までマニュアルで縛ることはできない。共通基準を持ちながら、判断に迷った加盟店がすぐ相談できる余白を残すことも、品質を守る条件となる。
直営で磨いた基準、地域で動ける距離、本部の知識循環、代表者の発信。その四つがつながった先に、消費者が「急いで決める」のではなく、「安心して比べる」ことのできる市場がある。
株式会社やまもとくんの全国展開は、規模を広げること自体ではなく、各地で同じ信用を積み上げられるかに真価がある。

直営運営、代表発信、FC教育を具体策へ落とし込んだ点は、業界課題への実行力を示す。今後、拠点別の顧客満足、再工事率、保証対応が示されれば、全国ブランドとしての信用をさらに客観的に検証できる。

取材を通じて、同社の本当の勝負は拠点数ではなく、直営で築いた信用を全国で再現できるかにあると感じた。業界に「安心して比べられる基準」を根付かせる存在へ成長することを期待したい。

会社名 株式会社やまもとくん
本社所在地 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル
電話番号/FAX番号 0120-55-6406 / 03-5962-9758
業種 建築業・リフォーム業
登録許可 一般建設業許可 東京都知事 許可(般-7)第160131号
URL https://yamamoto-kun.co.jp/

【取材/執筆:Y.U】
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