【その他の写真:インターネット上で行われる詐欺など使われる写真やイラストは以前から存在している物を使いまわすことが多いです。
日本人の友達に「Facebookでの詐欺の典型的な文章。」と言われながら、すぐに英語で返事を返すと「私は米軍の整形外科医です。私は軍医として働いています。
その後は、食べ物は何が好きか? スポーツは何が好き? 車は何が好き? とたわいもない会話がしばらく続きました。
もうひとつ文章の始まりに「my dear friend」が付かない時は親しげな感じ、そうでない時は少し改まった感じのチャットでまるで2人とさらにAIとチャットしているかのようでした。
暫くしてお決まりのLINE IDの交換を求められましたが、私はセキュリティー上LINEを使っていないので断り、「軍でLINEを使うのは重大な問題を引き起こす可能性が有るよ」と伝えたところあっさり引き下がりました。
2日目になると「シリア政府は私たちに130万ドルの報酬を与えてくれました。
逆になぜ私に多額の現金をそれも配送会社を使って送る必要があるのかWORDまたはPDFを使った正式文章を要求しました。
私から個人情報を得る事が出来ない事を悟ったMercy Kelvinは「今すぐ弁護士に連絡して休暇を承認してもらうのを手伝ってもらえますか」と話を変えてきました。弁護士に所属部隊長にMercy Kelvinの休暇を認めてもらうように部外者からのリクエストが必要だというのが理由でした。それを送ると暫くしてlawyer Markという人物から返事が来ましたた。要約すると「Mercy Kelvinに12週間の休暇を与える事になった。ただし国連のチャーター機に3,500ドル (194,530ペソ)が必要」との事でした。振込口座を尋ねるとBank name BPI BANK Name. RALEN LEJESTA Acct no. 0636838414となんとアメリカ軍がフィリピンのBPI BANKの口座を指定してきたのです。
私はここで身分を明かし覆面取材であることを伝えました。その後全く連絡が途絶えています。
後日談
彼女からは「アメリカの私の口座には現金があります。ただしシリアから私のアカウントにアクセスする方法はありません」と送って来ました。
そこで「貴方のアメリカの銀行のアカウントを教えてください。貴方に代わって、私が弁護士に送金をして航空券を購入できるように手配します。私を信頼してください。貴方のお金には絶対に手を付けません」と送られて来ました。詐欺集団を相手に立場逆転です。併せてアメリカのナショナルIDと医師免許の提示も繰り返し求めました。「もし応じなければ貴方をブロックしてメールアドレスも削除して全て終わり。Yes or No?」と最後通告したわけです。
Mercy Kelvinは最後に
「 私を助けてくれるなら、あなたの優しい心で私を助けてください。あなたが良い人であることは知っています。 そしてフィリピンに来たら会えることを楽しみにしています。あなたは私のただ一つの希望です」「それでは時間を割いていただきありがとうございます、たとえ助けてくれなくても本当に感謝しています。あなたは良い人です、良い1日を。」
これが最後のメッセージでした。もしかしたら彼女は本当に助けて欲しかったのかな? と後ろ髪を引かれる思いでした。でも騙されてはいけません。彼らは百戦錬磨の詐欺集団なのです。
【執筆:オサミス市在住14年目・上野浩一】