作家・東直己の推理小説「ススキノ探偵シリーズ」を原作とし、同シリーズの第2作にあたる『バーにかかってきた電話』を映画化した「探偵はBARにいる」(2011年)が日本映画専門チャンネルで5月5日(月・祝)に放送される。

原作者と同じ北海道出身の大泉洋が主演を務め、舞台も北海道である。
ハードボイルドタッチのストーリーで、派手な格闘シーンも多くアクション色が満載。大泉演じる探偵もなかなか強いが、彼以上に高田の強さが異常なレベルで、迫力の格闘シーンも見どころだ。フィリップ・マーロウをはじめ、ハードボイルド作品の多くは主人公の人間的な魅力が軸となっているが、本作の主人公もなかなか個性的だ。主人公の氏名が不詳で誰からも名前を呼ばれない点も面白いが、携帯電話を持たずに行きつけのバー「ケラーオオハタ」の名刺を渡して、依頼人からの連絡は店の電話で受けるスタイル。それがタイトルの由来にもなっている。お調子者だが「依頼人を守る」という信念は揺るがず、ヤクザに脅されようと大男に半殺しにされようと、真実を徹底して追い続ける生きざまはカッコいい。

共演陣では、敵役のカトウを演じた高嶋政伸 (※「高」は正しくは「はしご高」)が強烈で、舌や耳にピアスをつけての怪演ぶりで新境地を開拓している。出番は決して多くないが非業の最期を遂げる実業家・霧島を演じる西田敏行もさすがの存在感を発揮する。探偵の飲み友達の新聞記者・松尾役の田口トモロヲも情けない感じがハマって好演。探偵に情報を提供するヤクザ・相田役の松重豊もいい。

そんな味のある脇役たちが光っているのも、大泉と松田が中心にどっしり構えているからに違いない。本作は第35回日本アカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演男優賞など7部門で優秀賞を受賞するなど高い評価を受けた。初日から2日間だけで12万人超を動員し、映画観客動員ランキングで初登場1位を記録し、興行的にも成功。ヒットを受けて続編の製作も決定した。2013年に第2作「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」、2017年には第3作「探偵はBARにいる3」が公開されており、これらもあわせて放送される。
シリーズ第1作である「探偵はBARにいる」は、大泉が俳優としてさらに飛躍する契機となった作品でもあり、文字通りに体当たりで演じている。彼のルーツである北海道の大地で躍動する雄姿は、やはり格別な魅力を放っており、大泉の原点を見ることができる映画として、ファンの脳裏に強烈に焼き付いているはずである。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
探偵はBARにいる<PG-12>
放送日時:2025年5月5日(月・祝)20:00~ほか
探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点<PG-12>
放送日時:2025年5月5日(月・祝)22:15~ほか
探偵はBARにいる3<PG-12>
放送日時:2025年5月6日(火・振休)00:25~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります