2008年にデビューして以来、ドラマや映画で広く活躍してきたソン・ジュンギ。2021年のドラマ「ヴィンチェンツォ」が大ヒットして再びブレイク、韓国を代表するトップ俳優としての地位を確かなものにした。
近年では、虚無感と悲哀を纏う裏社会の男を演じたノワール映画「このろくでもない世界で」(2023年)や、必死に生きようともがく脱北者の青年を演じた主演作「ロ・ギワン」(2024年)などに出演。まったく異なる人物も作品の中で実在させてしまう、高い演技力がジュンギの持ち味だ。さらに今年2月には主演を務めた映画「ボゴタ:彷徨いの地」の配信がスタート、7月からドラマ「MY YOUTH」も本国での放送を控えている。

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そんな彼の代表作の一つとして挙げられるのが「財閥家の末息子~Reborn Rich~」(2022年)だ。フジテレビTWOで5月9日(金)深夜から放送される本作は、本国で2022年度最高視聴率を叩き出した大ヒット作。韓国を代表する財閥家に忠誠を尽くし身を捧げた男が、創業者の孫として二度目の人生を歩むファンタジードラマだ。
ジュンギは、韓国有数の財閥スニャン・グループのスニャン物産未来資産管理チーム長ユン・ヒョンウと、グループ創業者チン・ヤンチョル会長の孫チン・ドジュンの二役を務める。

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優れた判断力と行動力でチーム長を任されるヒョンウは、強い忠誠心をもって財閥に尽くしてきた。暴れる副会長に殴られ水をかけられても冷静に諭し、陰口を叩かれても嫌味を言われても顔色を変えない。メガネをかけたスーツ姿もスタイリッシュで、スマートな言動もさりげなく手慣れている。謙虚かつクールで理知的な男はジュンギにぴったりだ。
与えられた仕事を全うしていた彼は、ペーパーカンパニーを通して海外に流出した裏金の回収業務を遂行するが、スニャン・グループ内の誰かの指示で口封じのために殺されてしまう。
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自分の殺害を指示した人物がいる一族、スニャン財閥家の末息子(マンネ)の体に乗り移って二度目の人生を歩むことになったドジュンはあどけない10歳の少年だが中身は未来から来た優秀なチーム長。これから起こるすべてのことを知っている。立場を変えて生まれ変わった主人公の一発逆転の復讐劇が展開していく。
20歳を迎え青年となったドジュンも、ジュンギは違和感なく演じている。財閥の会長であり祖父であるヤンチョルを演じた名優イ・ソンミンとも堂々と渡り合う。マンネらしい愛らしさと強かさや、復讐を目論む優秀な頭脳を共存させている。ドジュンとして成長し、変化していく過程や複雑な心情も自然かつ繊細に体現。アラフォーには見えない美しい顔立ちもさることながら、カメレオン俳優と名高い演技力がここでも光った。

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過去に戻り別の人間に転生するというSF的な設定に加え、復讐サスペンスと激動の韓国現代史もストーリーに織り込まれた「財閥家の末息子~Reborn Rich~」。ジュンギは、その複雑な世界観に見る者を引き込む名演を披露した。
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
財閥家の末息子~Reborn Rich~
放送日時:2025年5月10日(土)0:00~
※毎週(火)~(土)0:00~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります