主にアイドルやアニメのキャラクターなど、自分にとって「イチオシ」の人を指す「推し」。近頃ではかなり聞き馴染みのある言葉になったが、さらに、その推しに情熱を注ぐ活動をすることを「推し活」という。
GAORA SPORTSでは、普段推される側の「推しメン」たちの「推し活」を探る番組「推しメンの推し活」の新作が放送される。普段は多くのファンから推される立場にある「推しメン」たちをゲストに迎え、普段彼らがどんなものを推しているのか、プライベートを明らかにしながら、ゲストの魅力を引き出すという内容。
4月28日(月)に放送される#6には、声優の立花慎之介が登場。『アイドリッシュセブン』の千役や『魔道祖師』の藍忘機役など、数多くの人気キャラクターを担当してきた立花インタビューを行い収録の感想やマヂカルラブリー・村上の印象、推し活の醍醐味などを語ってもらった。
――番組のオファーが来た時のお気持ちを教えてください
「僕自身はどちらかというと"推される側"だったので、いざ『自分が推しているものは?』と聞かれた時に、一瞬『なんだろう?』と考えてしまって。あまりにも身近すぎて意識していなかったというか、逆に考えたことがなさすぎて、推しというものを自分ごととして捉えられていなかったんですよね。でも、よくよく考えてみると、すごく面白い企画だなと思いましたし、好きなことを自由にやらせてもらえるなら、自分が推しているものだけじゃなくて、これまでやりたかったけどできなかったことにも挑戦できそうだなと思って、すぐに『ぜひやりたいです!』と返事をしたのを覚えています」
――普段、立花さんはファンの方から推される立場にいますが、ファンからの愛情はどのように受け止めていますか?
「すごくありがたいですし、嬉しいです。でも、『僕なんかでいいのか?』という気持ちもどこかにあって。超人気声優さんのように、誰もが知るような大ヒット作品に多数出演しているわけではないですが、いろんな作品に幅広く関わらせていただいていて、ゲームを含めた多様なジャンルに出演しているという点では、他の声優さんとはまた違った立ち位置なのかなとも思います。だからこそ、『このキャラクターが好きです!』とか『ファンです!』と言ってもらえるのは、本当に嬉しいです」
――今回のロケでは焼肉を食べたり、スポーツチャンバラをしたり、喫茶店でコーヒーを飲んだりしました。それぞれ選ばれた理由を教えてください
「僕、肉が結構好きなんですけど、やっぱり年齢的にも脂身がきつくなってきていて...。だから、赤身で美味しいお肉を日頃から探しているのですが、最終的に行きついたのがタンなんです。
――焼きタンはすごく美味しそうでした
「お店の近くにはスタジオがあって、もともと馴染みのある地域だったのですが、あんなに歴史のある老舗で、しかも僕と同い年のお店があるとは知りませんでした。実際に訪れてみると、お店の雰囲気もすごく渋くて、落ち着いた良い空間で、出てきたタンがもう......本当にすごかったです。昔から茹でタンとかも好きなんですが、ここはもう"タン一本で勝負してるんだぞ"という気概が伝わるような美味しさでした。調理法ごとに違った魅力があって、一口食べるたびに感動しましたね。マヂカルラブリーの村上さんも『プライベートでもまた来たい』とおっしゃっていましたけど、僕自身もぜひまた行きたいですね」
――スポーツチャンバラはいかがでしたか?
「スポーツチャンバラに関しては、まさか大学生の方々が教えてくれるとは思っていなかったので驚きました。今の大学生と一緒にスポーツをする機会ってなかなかないですし、それ自体がまず貴重な経験でしたね。

――村上さんと一緒にロケをしてみて、距離は縮まりましたか?
「移動のバスの中では、実はいろんな会話をさせていただいていました。オンエアに乗る部分では質疑応答をしっかりさせていただきましたが、それ以外の回っていないところでも、声優業界とお笑い業界についてずっと話していたんです。それぞれの業界には違いもありますが、若い世代がこれから声優やお笑いを目指していく中で、僕も村上さんも中堅どころになってきた今、若手を見る立場として『困った若手たちの傾向って、どの業界でも同じなんですね(笑)』みたいな、意外な共通点を見つけたりして。やっぱり、どちらもエンターテイメント業という意味では似ている部分がある一方で、全然違う部分もあって、その違いを話しながら、お互いの業界について少し理解が深まったような気がします。あと、実は村上さんとは今回初めてご一緒しましたが、別の番組では野田クリスタルさんとも共演していたので、僕的には『マヂカルラブリーをコンプリートした!』っていう気持ちもあります(笑)。年齢も近いこともあって、とても楽しく、仲良くお話しさせていただきました」
――収録の時にもおっしゃっていましたが、吉本部と声優部でスポーツチャンバラでできたら面白いですよね。
「いや、できるとは思いますよ。できるとは思いますけど、吉本さんって死ぬほど人数がいるそうなので、もし合戦をやったら確実に負けると思います(笑)。
――声優部として加わってほしいメンバーはいますか?
「やっぱり、うちのもう1人の代表である福山潤。彼は木立の中でも機敏に動き回れるくらいの俊敏さを持っているので、ぜひ彼には活躍してもらいたいですね。でも、今回の大学生たちを見ていると、やっぱり若手が動けて強そうだなという印象があったので、戦力としては若手を主軸に据えるのがいいかなと思います。ただ、合戦となるとやっぱり盾を持ったタンクが必要なんですよね。そこで、タンク役はぜひベテランにやっていただきたい(笑)。ベテランの方々には、お笑い芸人さんとも親交がある方が多いので、そこをうまく活かしつつ、ちょっとした戦略を練りながら戦っていけたら面白いなと思います」
――立花さんがこれまで演じてきたキャラクターで、個人的に推しているキャラクターはいますか?
「最近で言うと、『わんだふるぷりきゅあ!』のメエメエは僕にとって新しい分野に挑戦したキャラクターの一つでした。僕も20年以上声優をやらせていただいていますが、これまでメエメエのようなキャラクターは演じてこなかったんです。というのも、僕はなるべく声質に頼りたくないという考えがあって、声のトーンを大きく変えてキャラを演じると『このキャラ、別に僕じゃなくてもいいんじゃないか?』と思ってしまう部分があって。それに、声質に頼りすぎると、芝居の本質が疎かになり、表面的なものになってしまう気がしていました。なので、基本的には地声に近いトーンの中で高低差をつけることはあっても、あからさまに声を変えることは意識的に避けていました。
――改めて、推し活の醍醐味を教えてください
「これは僕自身もそうですし、世の中で"推し活"をしている方々も同じだと思うのですが、推し活って、結局"自分のエゴ"でいいんですよね。他人が入り込む余地がなくて、自分の好きなものや好きな人をひたすら推し続けるだけ。だから、他人にどう言われようと関係なくて、自分の世界の中で純粋に"好き"を貫くことが推し活なんだと思います。昔だったら『なんでそんなこと1人でやってるの?』とちょっとネガティブな印象を持たれることもあったかもしれないですけど、今は自分の好きなことに没頭し、それを表現することが普通になってきていて、それが世間に受け入れられる時代になったのは本当に素晴らしいことだと思います。こうして"推し活"が当たり前になった今、自分の好きなものを自由に楽しんで、発信できる時代になったことを嬉しく思いますし、もっと多くの人にそれぞれの"推し"を見つけて、思いきり"好き"を爆発させてもらえたらいいなと思います。推しがいることで、仕事や学校生活も楽しく乗り切れるようになると思うので、まだ"推し"が見つかっていない人は、ぜひこれから見つけてみてほしいですね」
――最後に番組をご覧になる方にメッセージをお願いします
「僕のやりたいことややってみたかったことがたくさん詰まった番組になっています。そして、年齢的なこともあって、最近はあまり動き回る立花慎之介をお届けできていなかったので、そういったところも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです(笑)。男子がわちゃわちゃご飯を食べたり、剣を振り回して遊んだりしている姿を、温かい目で見守っていただけたらと思います!」
取材・文=川崎龍也
放送情報【スカパー!】
推しメンの推し活~声優・立花慎之介~
放送日時:2025年4月28日(月) 23:30~ほか
チャンネル:GAORA SPORTS
※放送スケジュールは変更となる場合があります