【京都】伏見稲荷大社から徒歩2分の場所に、とある着物レンタル店がある。京都の伏見稲荷大社といえば、「日本一外国人観光客が訪れる観光スポット」に四年連続で選ばれた超有名観光地である(*Trip advisorより)。
着物レンタル店の名前は「うるわしき」。店先を通るとお利巧に外を眺める看板犬、柴犬の「カジくん」が真っ先に目に入ってくる。実は、この着物レンタル店は、着物を着て日本犬の「柴犬」と触れ合えて写真が撮れると密かに訪日外国人の間で話題になっている。

毎日朝夕2回の散歩は伏見稲荷大社の裏山に行くのが日課だ。人目が多いところは避けつつも観光客が見かければ、すぐに写真をせがまれる人気ぶり。ある時は、30人以上の観光客に囲まれたこともあったそうだ。店先で道行く人を眺めたり、着物を着てお出かけしていくお客様の見送りをしたりと日々大忙しのカジ。

実は、知られざるつらい過去があり、また奇跡的な出会いを経て、野良犬から訪日外国人に人気のアイドル犬となった。
■淡路島で動物保護センターに収容されていた柴犬2017年夏、カジは淡路島で発見された。発見者の山本さんによれば、8月末頃にやせ細った衰弱しきった一匹の柴犬を保護した。

時同じころ、着物レンタルサロン店主の増田さんは、偶然ネットでカジの里親募集を見かけ、不思議と胸騒ぎがした。いてもたってもいられず、京都から車を3時間飛ばしてすぐにカジに会いに行った。
増田さんを見るとすぐに、長い間離れていたご主人にでも会えたかのように、カジは尻尾を大きく振って前足を挙げて大いに喜んだ。保護センターの人は、相性が良いと判断したのか、その日のうちに増田さんはカジを連れて帰ることが許された。
増田さんは、カジが寂しくないように店先にカジくんスペースを準備した。一面ガラス張りの店内からカジが道行く人をじーと見ている。
■柴犬・カジがお客さんを呼んだ!すると、はじめの2~3日は近所の人が足を止め、1か月もすれば観光客が足を止めるちょっとした観光スポットになった。今ではお客さんがSNSにアップした画像を見て、カジファンがお店にやってくることが多いそうだ。おかげで着物レンタルのお客さんも増えたという。
実は、この着物レンタル店が外国人に人気の理由はこれだけではない。
「カジが来てからお店の雰囲気が明るくなった」と話す増田さん。「朝起きて寝るまで、さらに寝る時もカジと一緒です。部屋の中ではトイレに行く時も後を追いかけて来てトイレの前で待っているし、朝は気が付いたら布団に上がってきて顔をなめてくれる可愛い子です。カジは成犬になって保護した子ですが、私達の絆は、子犬の時から飼っている場合と変わりません。カジの存在がこれからワンちゃんを買う人にとって保護犬の里親になることが一つの選択肢になるようになれば嬉しいです」と増田さんは言う。
アイドル犬カジは、今日も店先に立ち、外国人観光客に日本の良さや日本犬の良さを広めている。これぞまさに、柴犬カジのシンデレラストーリーだ。
【店舗情報】
うるわしき
伏見稲荷 着物レンタル|和服租貸・Kyoto kimono rental・URUWASIKI
HP: http://jpkimonorental.com/
柴犬カジのインスタグラム
https://www.instagram.com/shiba.kaji/