5月22日(木)から6月1日(日)までの期間、銀座で開催される「金工の深化ⅢーEvolution of Metal WorksⅢー」。同展示は今もっとも注目される6名の金属造形作家による展覧会だ。
精緻な技術と現代的感性が融合した作品群は、美術品にとどまらず、生き方や価値観を映す鏡でもある。素材の奥深さに魅せられた作家たちの深化に、静かに触れてみたい。
鐵地象嵌匣「chroma」/ 坂井直樹
技術と詩情が交錯する、6名の金工家たち
東京・銀座のセイコーハウスホールにて開催される「金工の深化Ⅲ」は、伝統的な鍛金・鋳金技法を継承しつつ、それぞれの世界観を独自に深めてきた6名の金工作家による企画展だ。技巧を超えた精神性を帯びた作品たちが並ぶ。

flower funeral -/ 髙橋賢悟
今回参加する作家を紹介しよう。昆虫のいる風景に詩情を添えて表現する相原健作氏。精密な波状模様を刻むダマスカス鋼で世界を創る加藤貢介氏。生命や小宇宙を感じさせるように透かし彫りで描く久米圭子氏。侘び寂びを現代的に昇華させて作品を仕上げる坂井直樹氏。そして、自在置物の技で昆虫を原寸大で再現する満田晴穂氏。今回初参加となる髙橋賢悟氏は、生と死の狭間に漂う儚さを、鋳金によって静かに表現している。

揺れる想い / 相原健作
いずれも、素材に命を吹き込むような仕事を続けてきた作家たちだ。彼らの作品に共通するのは、金属という冷たい素材から“温度”や“気配”を引き出す独自の視点。

CUBE12 / 加藤貢介
銀座で出会う、静寂のなかに潜む金工の魅力
展示会場となるのは、和光が運営するセイコーハウスホール。銀座四丁目交差点に立つ、格式と現代性が同居するこの空間は、美意識の高い来場者にふさわしい舞台だ。

自在手長黄金 / 満田晴穂
期間中は出品作家によるギャラリートークも予定されており、作り手の言葉から作品の背景をより深く理解する機会にもなる。また、満田晴穂氏の作品は抽選販売となり、応募は会場でのみ受け付ける。実物を見て、作家の世界を肌で感じてみてほしい。
無機質な金属と対話する
金属は本来、無機質で硬質なものだ。しかし、この展覧会では、柔らかさや、静けさ、あるいは詩的な気配さえも立ち上がる。作品と対峙する時間は、日常のノイズから離れ、自分の内面と静かに向き合うひとときとなるだろう。

wonders 097-2 / 久米圭子
自分の選ぶモノがそのまま生き方を映すようになる大人世代には、こうした真摯なものづくりに触れる意義は大きい。気鋭の6名が魅せる金属工芸の「深化」を、銀座の静謐な空間で体感してほしい。
金工の深化Ⅲ ーEvolution of Metal WorksⅢ―
会期:5月22日(木)~6月1日(日)
会場:セイコーハウスホール
所在地:東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス 6階
営業時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)
入場料:無料
公式サイト:https://www.wako.co.jp/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000281.000025779.html
(Fumiya Maki)
※営業時間および催事は予告なしに変更する場合がある