その後、日本でもRPG作品が生み出されるようになり、『ドラゴンクエスト』などのファミコンソフトが一大ブームを巻き起こしました。作品によって目的や世界観は異なりますが、ファンタジー世界が舞台となり、主人公は勇者となって敵と戦い、魔王などのボスを倒して世界を救うという形が主流でした。
フィールド上に出現する様々な敵を打破し、経験値を稼いでレベルアップ。ダンジョンや街中、時には住民の家の中を探してアイテムを獲得することもあります。そんな“RPGのお約束”を多くの作品が受け継ぎ、それらの要素は最新の作品にも見受けられるほどです。
しかし、この“RPGのお約束”に一石を投じ、新たな可能性を切り開いた作品も多数ありました。その中でも特に知られているのが、1997年10月に発売されたプレイステーションソフト『moon』です。
「なぜ勇者は世界中のモンスターを皆殺しにするのか?」「なぜ勇者は勝手にタンスをあけて人の家からアイテムを盗むのか?」といった“RPGのお約束”と向き合った『moon』は、敵を倒して得られる経験値ではなく、「ラブ」をゲットする「ソウルキャッチ」でレベルアップ。勇者に殺されたモンスターの魂を救いながら、この世界の謎へと迫ります。