10月2日より実施された第1回クローズドβテスト(CBT)では、“魔法”と“公務員”が交差するメインストーリーをはじめ、独自の駆け引きが盛り込まれたバトル、キャラクター育成、さらには魔法使いたちとの交流を楽しめる「自由時間」など、本作を形作る主要なコンテンツをひと通り体験できました。
現代的なビジュアルで描かれる“新伝奇”の世界観には強く惹かれる一方、初回CBTならではの荒削りな部分も見えてきます。本稿では、ストーリー、バトル、そのほかのゲーム体験を中心に、『アストラエ・オラティオ』の所感をお届けしていきます。
※ゲーム画面は開発中・クローズドβテストプレイのものです。
■“魔法”と“公務員”が交差するストーリー。ドタバタ劇の間に潜む僅かな不穏さ
ゲームの舞台となるのは、魔法使いたちが人知れず存在している“'89年”の東京。
魔法使いを行政管理する組織「特区庁」で多忙な日々を送る、平凡な公務員の男「主任」の視点から『アスオラ』の物語は描かれていきます。
ひょんなことから特区庁長官・平和岸灯愛の仕事を引き継いだ主任ですが、平和岸灯愛のずさんな引き継ぎ体制によって、特区庁の仕事をほとんど手さぐり的に全うしていくことになるのです。
しかし、見える範囲で主任の欠点と言えば、せいぜい“乙女心に鈍感”なことくらい。
前任者の後始末に消耗しながらも、公務員らしくテキパキ仕事をこなし続ける真面目な社畜ライフを送る主任。こうした日常を通して特区庁は行政としての機能を取り戻していき、数多の魔法使いたちと関わっていくことになるのでしょう。
CBTではそんな主任と平和岸灯愛との出会いを描くプロローグに加えて、港区や新宿区を中心に活動する魔法使いたちとの物語が楽しめました。
港区では、田中えりん、藤晴璃々愛、アンナ・M・バッテンベルクという3人の少女たちとの出会い、そして彼女たちが「港区少女たちのまほ活」として関係を築いていく過程が描かれます。
思い込みから暴走しがちなえりん、名家の令嬢でおしとやかそうな見た目に反して好奇心旺盛かつエキセントリックな璃々愛、落着きがあるものの2人に振り回されそうな貴族令嬢のアンナ。1章は3人のドタバタとした様子がとにかくコミカルです。
一方、新宿区を拠点とする「アキナ怪談研究所」では、都市伝説や怪談を追う秋津明菜たちが登場します。こちらも序盤は賑やかな雰囲気で進んでいきますが、事件を追うほど、込み入った事情が浮き彫りになっていきます。
いずれの章も少女たちの何気ない日常を描いたうえで、彼女たちの身近に存在する「魔法使い」ならではの現実が主任の視点を通して少しずつ見えてくる。こうした緩急こそ、本作が解釈する“新伝奇”なのでしょう。
かつてアニメやライトノベルを見て感じたような“不思議な現実世界に踏み込んでいくワクワク感”を、現代的なビジュアルと演出で再構成した作品だと感じました。大変好みです。
■見栄えは抜群、手触りはまだ荒削り。個性的なターン制バトルを体験
ビジュアルだけに留まらず、バトルシステムも非常に個性的なゲームデザインとなっていました。まず、本作は一般的なRPG作品のような集団戦ではありません。フィールドに登場するのは自パーティと敵パーティからそれぞれキャラクターが一人ずつ。
これは作中における魔法使い同士の戦い「トライアル」の描写に合わせたものだと思われます。バトルはターン制RPGですが、実際にプレイしてみるとかなり忙しい。
敵が次に行う行動は画面上にあらかじめ表示されており、その攻撃が確定するまでに「AP(アクションポイント)」を用いて、こちらも行動を選択していくのです。
通常スキルを重ねるのか、クールタイムのある戦闘スキルを使うのか。それとも危険な攻撃に備えて仲間を交代するのか。APさえあれば、通常スキル→戦闘スキル→仲間と交代からの追撃...といった具合に畳みかけることが可能です。
敵の攻撃に対する「カウンター」も重要な要素です。
タイミングに合わせて入力すると敵の攻撃を受け流し、そのまま反撃につなげることができます。しかし、カウンターを成功させてもある程度はダメージを受けてしまうため、あくまで有利に切り替えせるという仕組みに過ぎません。
また、初回CBTということもあり、バトルの難易度バランスについては厳しいと感じる場面が多々ありました。育成素材を集めるステージの敵は全体的に攻撃力が高めで、カウンターの成功がほぼ必須条件です。
数レベル程度のレベリングではキャラクター成長の恩恵を受けづらく、「敵が強くて育成素材を集めに来たのにそこでも苦戦してしまう」といった問題が顕在化していたように感じられます。
この辺りはゲームバランスの調整か、プレイヤーがゲームの進捗に合わせて適切なバトルコンテンツに挑めるようにする導線づくりが必要でしょう。導線がないわけではありませんが、正直十分とは言えませんでした。
バトル最大の見せ場とも言えるのが「領地宣言」。キャラクターごとに設定された条件を満たすことで発動可能になり、名乗りと派手なカットインとともに戦況を大きく動かします。
ストーリーもバトルも全体的なビジュアル部分は非常に完成度が高く、演出面は総合的に見ても素晴らしいものでした。一方で、独特なバトルシステムを取り入れたことより、ゲームバランスに関連する課題が見えてくるようでした。
■退勤したら「東京」の街へ。自由時間込みで“主任の日常”を体験できた
ストーリーやバトル以外のコンテンツではキャラクターと交流を深める「自由時間」があります。東京23区とその近郊が描かれた地図から行き先を選び、各地にいる魔法使いたちに会いに行くといった要素です。
昼夜でキャラクターの居場所や会える人物が変化し、限られた自由時間ポイントを誰に使うか選択する仕組みとなっています。メインストーリーではクランや地域単位で魔法使いたちの物語が描かれますが、自由時間ではひとりの人物としてキャラクターを掘り下げていくようです。
プレゼントを渡すことも可能で、交流を重ねていけば、メインストーリーとは少し異なるキャラクターの一面も見えてくるのではないでしょうか。
CBTの段階ではありますが、ストーリーを読み、魔法使いたちの戦いを体験し、仕事を終えて交流するという一連のサイクルは、すでにゲームとして形になっているように見られました。今後の改善でどれだけ遊びやすくなるのか、展開を楽しみに待ちたいところです。


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