日本各地で、道端などによく鎮座している「お地蔵さん」。かわいらしい姿に心を惹かれ、思わず立ち止まって手を合わせたくなったことのある方も多いでしょう。
最近では、手のひらに乗るサイズの小さなお地蔵さんの置物を販売する通販サイトもあり、人気を博しています。
鎌倉・長谷寺の「和み地蔵」
「お地蔵さん」は、正式名称を「地蔵菩薩」といいます。その名前の由来は「大『地』が全ての命を育む力を『蔵』するように」、苦しんでいる人々を慈悲の心で包み込んで救って下さることからだといわれています。
「菩薩」とは、成仏を目指し修業をする、いわば「修業者」を指し、「如来」に次ぐ存在とされています。
お釈迦さまこと「釈迦如来」が入滅(亡くなること)してから、「弥勒菩薩」が悟りを開いて「如来」となるまでの間に56億7千万年というとてつもなく長い時間がかかるとされているため、その「如来不在の期間」に地蔵菩薩が人々を苦しみから救済する、と信じられてきたのです。
「道祖神」として信仰されてきたため道端に鎮座している事が多いのですが、これは「村の外=あの世(鬼が住んでいる所)」「村の中=この世」という思想が日本にはあったため、あの世とこの世の両方に存在できるお地蔵さんが、村の境界線に立てられたことによるものです。
■なぜお地蔵さんは子供の姿をしているの?
そんなありがたいお地蔵さんが、一般的にかわいらしい子供のような姿をしているのは、なぜなのでしょう?
実は本来の地蔵菩薩は、お坊さんの姿をしていました。それが12世紀頃になると、現在よく知られているような子供の姿のお地蔵さんに変わっていきます。

お地蔵さんは「子供を守り、身代わりになってくださるご利益がある」と信じられていたことから、より人々に親しみやすい子供の姿になったのです。
お地蔵さんに子供が喜びそうなお菓子などがお供えされていることが多いのも、納得ですね。
■赤いよだれかけにも実は意味がある?
またお地蔵さんと言えば「赤いよだれかけ」や「赤い帽子(頭巾)」を着けていることがよくあります。

これは、お地蔵さんが「子供を守る神様」として信仰されてきたことから、人々が「自分の子供が健やかに育つように」という願いを込めてよだれかけを奉納するようになったのです。
お地蔵様に奉納されるよだれかけや帽子が赤いのは、「赤」という色に「魔除け」の意味があると信じられていたから。
あなたの町にも静かに佇んでいる、小さなお地蔵さん。
そこには「地域や子供を守りたい」という、地域のみんなの願いが込められているのですね。
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