四季よりも細かく…1年間を24個に分けた日本の季節「二十四節気」とは?
何かと暗くて気が滅入りそうですが、その後は徐々に日が長く延びていくので、古来「一陽来復(いちようらいふく)」、よくない事が続いた後に幸運が訪れる兆しとも呼ばれていますから、前向きにとらえたいものです。
ゆず湯に漬かって、心身ともに温まる
さて、そんな冬至ですが令和2年(2020年)は12月21日(日)。昔から冬至には「カボチャを食べて、柚子(ゆず)湯に入ると風邪をひかない」と言われ、この時期になると妙に柚子が高くなります。
その理由について、かつて大人たちは「ビタミンが摂れるから」と教えてくれたものですが、よく考えてみれば単にビタミンなら他の野菜や果物でも事足りる訳で、もう少し何か深い理由がありそうです。
という訳で、今回は冬至のカボチャと柚子湯について紹介します。
■カボチャは開運食材!「冬至の七種」と一緒に食べよう
まずはカボチャについて。カボチャと言えばハロウィン……というイメージからか、秋の野菜と思われがちですが、実は夏野菜の一つです。
それが何で冬至の食卓に出るのかといえば、その保存性の高さにより、昔から冬のビタミン補給に欠かせなかったため

南瓜の煮物で、心身共にホクホク(イメージ)。
冬至に食べると開運できると言われる「冬至の七種(ななくさ。7種類の食材)」にも入っているため、積極的に食べたいところです。
【冬至の七種】並べてみると、どれも「ん」が二つ並んでいますが、これは最も日が短い冬至を「太陽の終わり」ととらえ、文字の終わりである「ん」が入った食べ物によって締めくくり、新たな太陽を迎えるためと考えられます。
うんどん(饂飩・うどんの旧称)
かんてん(寒天)
きんかん(金柑)
ぎんなん(銀杏)
なんきん(南京=カボチャの別称)
にんじん(人参)
れんこん(蓮根)
見ると身体の温まりそうな根菜やうどん、ビタミンの摂れそうな金柑、精のつきそうな銀杏など、冬を越すにはもってこいの食材たちが並んでいますが、寒天も春雨代わり(糸寒天)にすれば鍋に出来そうですね。
■柚子湯の始まりは、江戸っ子たちのダジャレから?
一方、柚子湯の習慣はどういう理由で始まったのでしょうか。調べてみると江戸時代、天保9年(1838年)に発行された斎藤月岑『東都歳時記』に
冬至。星祭。今日諸人餅を製し、家人奴僕にも与えて陽復を賀す。又来年の略暦を封じて守とす。今日、銭湯風呂屋にて柚湯を焚くとあります。柚子は融通(ゆうづう)に通じ、冬至は湯治(とうじ。湯につかって傷病を癒す)に通じることから
【意訳】
冬至には星祭り(※1)があり、各商家では餅をついて家族や使用人に与え、一陽来復のお祝いをする。また来年のカレンダー(暦)を巻き包んでお守り(※2)とする。銭湯では柚子湯にする。
(※1)未詳。七夕の冬バージョンでしょうか。昔は今以上に夜空がキレイだったでしょうね。
(※2)これが穴八幡宮(東京都新宿区)で有名な「一陽来復」お守りの起源でしょうか。
「冬至の晩には柚子湯につかって湯治して、あらゆる運勢を融通(=開運)しよう!」
というダジャレから始まったそうです。

「冬至には、柚子湯で湯治が一番サ」「バカお言いでないよ。柚子を買うカネなんかないンだから」「誰か融通しておくれ、ってネ」
こういう話をすると、多くの方は「しょうもない……」と苦笑いされますが、笑う門には福来ると言いますから、大口開けてよく笑い、柚子湯の湯気と一緒に一陽来復の運勢もたっぷり吸い込むといいでしょう。
■終わりに
以上、カボチャと柚子湯の習慣について調べてみましたが、「冬至の七種」なんてあったんですね。初めて知りました。
別に知らなくてもカボチャは美味しいし、柚子はかぐわしいものですが、こういう雑学をちょっと知っていると、先人たちの知恵やユーモアを身近に感じられて、季節の行事がより一層楽しめることでしょう。
※参考文献:
棚橋正博ら編著『絵でよむ江戸のくらし風俗大事典』柏書房、2004年9月
新谷尚紀 監修『日本の「行事」と「食」のしきたり』青春出版社、2004年11月
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