突然ですが、サスペンスドラマなどを見ていて「バレる」というセリフが登場し、その語源がふと気になりました。
一般的には秘密や隠し事が暴かれるときに使いますが、ヤクザ映画でも殺すことを「ばらすぞ」と言ったりしますよね。
ということで調べてみたら、はっきりとしたことはわからず迷宮にはまりました。
■日本語の濁音減価説
辞書では…
①秘密や隠し事などが露見する。発覚する。
②相談などが、まとまらずに破れる。
③卑猥 (ひわい) な話をする。下品なことを言う。
などと説明されています。
『上方語源辞典』では、下記のように考察しています。
〈現代語で「秘密をあば(暴)く」と言うが、この「あばく」に対し、「あばける」(露わになる)という形が昔はあったのではないか。その「あばける」の変異形として「あばれる」があり、それを略したのが「ばれる」となった〉
とありますが、これだと②③の意味が通りませんね。
日本語では、清浄なものは濁音をつけないという風潮があります。
たとえば、ものの様子を「さま」と言いますが、情けない様子を言うときは、濁音化して「何たるざまだ」というように「ざま」になります。
それに照らし合わせて、「ばれる」も「晴れる」の濁音減価ではないかという説があります。確かに晴れるは「晴れ晴れ」「気が晴れる」など、雲のない空に例えて隠し事のないさっぱりした様子にも使われますね。
とはいえ、決定的な説は未だないようです。
■エロちっくな川柳「バレ句」
銭湯を描いた春画(色道取組十二番 磯田湖龍齋 1777年)
では③の意味である「卑猥な言葉」とは?
現代ではこの用法であまり使うことはないと思いますが、調べてみると江戸時代に大流行した川柳で、特に卑猥な川柳のことを「バレ句(破禮句)」と呼ぶということを知りました!
破禮句にも破れるという漢字が使われていますね。
川柳とはすなわち季語のない俳句のことですが、季語の代わりに笑いを主題としています。破禮句を集めた『誹風末摘花』(1776年)や『柳の葉末』から、ちょっとご紹介しましょう。
「入込はぬきみはまぐりごったなり」
(入込は混浴のこと。女性器に抜いたりさしたりしている人でごった返している)
「せんずりをかけと内儀は湯屋で鳴り」
(自慰行為してなさいと湯屋で既婚女性が男性をあしらうさま?)
「ざくろ口蛇の頭が並ぶよう」
(ざくろ口の外から中をのぞくと、男性のものがまるで蛇の頭が並んでいるように見える)
「いまゐくとまろびいでたりやぐのそと」(いまいく、と夜具の外にころげでる)
「あなうまし小壺へ鈴のあたる時」(女性器に亀頭があたるさま?)
江戸時代といえば混浴だった湯屋での出来事を詠んだ川柳が多いようです。
意味が隠されておらず直接的な表現という点でも、その様子が「バレる」川柳ばかりで、読むほうが恥ずかしくなっちゃいますね。
といことで、「バレる」はなかなか奥深い言葉なのでした。
参考:考える人、ブリタニカ国際大百科事典
一般的には秘密や隠し事が暴かれるときに使いますが、ヤクザ映画でも殺すことを「ばらすぞ」と言ったりしますよね。
ということで調べてみたら、はっきりとしたことはわからず迷宮にはまりました。
■日本語の濁音減価説
辞書では…
①秘密や隠し事などが露見する。発覚する。
②相談などが、まとまらずに破れる。
③卑猥 (ひわい) な話をする。下品なことを言う。
などと説明されています。
『上方語源辞典』では、下記のように考察しています。
〈現代語で「秘密をあば(暴)く」と言うが、この「あばく」に対し、「あばける」(露わになる)という形が昔はあったのではないか。その「あばける」の変異形として「あばれる」があり、それを略したのが「ばれる」となった〉
とありますが、これだと②③の意味が通りませんね。
日本語では、清浄なものは濁音をつけないという風潮があります。
たとえば、ものの様子を「さま」と言いますが、情けない様子を言うときは、濁音化して「何たるざまだ」というように「ざま」になります。
濁音を付けることで、対象の価値を下げるという考えです。
それに照らし合わせて、「ばれる」も「晴れる」の濁音減価ではないかという説があります。確かに晴れるは「晴れ晴れ」「気が晴れる」など、雲のない空に例えて隠し事のないさっぱりした様子にも使われますね。
とはいえ、決定的な説は未だないようです。
■エロちっくな川柳「バレ句」
銭湯を描いた春画(色道取組十二番 磯田湖龍齋 1777年)
では③の意味である「卑猥な言葉」とは?
現代ではこの用法であまり使うことはないと思いますが、調べてみると江戸時代に大流行した川柳で、特に卑猥な川柳のことを「バレ句(破禮句)」と呼ぶということを知りました!
破禮句にも破れるという漢字が使われていますね。
川柳とはすなわち季語のない俳句のことですが、季語の代わりに笑いを主題としています。破禮句を集めた『誹風末摘花』(1776年)や『柳の葉末』から、ちょっとご紹介しましょう。
「入込はぬきみはまぐりごったなり」
(入込は混浴のこと。女性器に抜いたりさしたりしている人でごった返している)
「せんずりをかけと内儀は湯屋で鳴り」
(自慰行為してなさいと湯屋で既婚女性が男性をあしらうさま?)
「ざくろ口蛇の頭が並ぶよう」
(ざくろ口の外から中をのぞくと、男性のものがまるで蛇の頭が並んでいるように見える)
「いまゐくとまろびいでたりやぐのそと」(いまいく、と夜具の外にころげでる)
「あなうまし小壺へ鈴のあたる時」(女性器に亀頭があたるさま?)
江戸時代といえば混浴だった湯屋での出来事を詠んだ川柳が多いようです。
意味が隠されておらず直接的な表現という点でも、その様子が「バレる」川柳ばかりで、読むほうが恥ずかしくなっちゃいますね。
といことで、「バレる」はなかなか奥深い言葉なのでした。
参考:考える人、ブリタニカ国際大百科事典
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