そこで今回は、平安時代の女性の髪型に焦点をあててみたいと思います。なぜ、平安時代の女性たちは髪の毛が長かったのでしょうか?
■平安時代の貴族女性の髪型は「垂髪(すいはつ)」
平安時代の貴族の女性たちの髪型は「垂髪(すいはつ)」と呼ばれます。垂髪は読んで字のごとく「髪をそのまま長く垂らした」スタイルです。
平安絵巻に描かれる女性たちが、着ている十二単のすそより長い髪型をしているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
■長い髪は平安時代における美人のひとつの条件

平安時代の貴族の女性たちは、どうしてそんなに髪の毛が長かったのでしょうか。その理由は、平安時代においては髪が長いことが美人のひとつの条件だったからでした。
ほかにも顔の色の白さや切れ長の目、おちょぼ口、ふっくらした顔などが美人の条件。また、生活スタイルから見ても、彼女たちは外で労働する必要もなく、髪を結う必要もありませんでした。
■実際の髪の長さはどれくらいだったの?

髪の長さは個人によって違ったようですが、だいたい自分の身長かそれよりも少し短いか長いかでした。
当時の女性たちは140~150cmくらいの身長だったようですから、少なくとも1mは超えていたことになります。
ちなみに、歴史物語の『大鏡』には、当時の権力者・藤原道長の4人の娘について、以下のように髪の長さの記載があります。
- 彰子の髪:着物の裾よりも長い
- 妍子の髪:着物の裾より一尺ほど長い
- 威子の髪:身長より少し長い
- 嬉子の髪:身長より七、八寸長い
長い髪が美人の条件だった平安時代。
しかし、紫式部の『源氏物語』には、上品な尼を見た光源氏が「髪の美しげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな」と思う描写もあります。これは、「髪がきれいに切りそろえられて、長い髪より新鮮で良い」という意味です。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
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